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1 私の【自分ノート】をご紹介します




 <なろう>に登録されていらっしゃるみなさまは、文字が並ぶあらゆる言葉、文章、小説などを読んだり書いたりすることに興味をお持ちだと思います。

 私もそんなひとりです。

 そんな私が高校生から書いていた【自分ノート】を、みなさまにご紹介したいと思います。

 

 自分ノート、マイノートと検索すると、夢ノート、自分磨きノート、趣味ノート、料理ノート、面白いくらい多種多様なノートがたくさん出てきます。かなり工夫されていて、凝っているおしゃれなノートもありました。自分ノートにおすすめの立派なノートなども販売されているようです。

 みなさまは、何か書かれていらっしゃいますか?



 私の【自分ノート】は、言葉、文章ノートです。とてもシンプルなものです。

 私が読んで惹かれた文章、心に残った言葉、などをそのまま書き写したものなので。

 そして、ノートの種類は、ハードカバーの日記帳を使っています。


 書き綴ってある文章は、教訓めいた諺のようなものばかりではありません。

 読んだ小説の一節、一段落だったり、会話の中の台詞だったり。過去の人たちの残した言葉だったり、現在の有名人の書いた文章だったり、歌の歌詞、詩、雑誌のエッセイや書評、新聞の評論、映画のパンフレットのコメントの一部だったり全部だったり。小説のタイトルとサブタイトルだけとか、文章ならほとんどなんでもありです。

 作者の名前と作品名、書き写した日付なども一部記してあります。



 それらは、もしかしたら今までの自分を物語っているのでは? と大袈裟ですが、思えなくもありません。

 そして、今、この【ノート】を読み返すと自分の高校生からの心の移り変わりなどもよく表されているのがわかります。その時々の趣味、興味、エピソードも何やら思い浮かんできます。



 さて、私の【ノート】の記念すべき最初の文章は、吉川英治の『宮本武蔵』のラストの文章が3ページに渡り、それこそ丁寧な字で書いてありました。

 どんな女子高生だったか、恥ずかしながらご想像の通りです。毎日学校図書館に通うような、地味な高校生活を送った女子です。

 この小説は、確か高校2年生のときになんとか読破した初めての長編作品でした。夏休みの倫理のレポートでこの小説に基づき生と死について書いて、厳しいと生徒の間で怖がられていた倫理の教科の先生から、穏やかな笑顔で褒められたことを、思い出しました。

 『宮本武蔵』を読むきっかけになったのは、ある漫画でしたので、大したきっかけではありません。たまたま学校の図書館に文庫本があったので手をつけました。

 そうしましたら、とても面白いストーリーで、引き込まれて読み始めました。後半一度だけ挫折の危機もありましたが、全巻読みきることができました。それ以降、この小説より長い小説は読んでいません。

 【ノート】の次の4ページめに書かれていたのが、読むきっかけとなった漫画に対してのロマンあふれる文章で綴った解説でしたので、このエピソードを思い出しました。


 【ノート】を書き始めた当初は高校生だったので、学校の図書館で読んだ本からの文章が多いです。中高一緒の図書館でしたので、児童書もありましたし、岩波文庫、新潮文庫や講談社文庫などがズラリと並んでいたのを覚えています。その中で、日本作家、外国作家、問わず、惹かれるタイトルや面白そうなあらすじの作品を読みました。

 【ノート】には、そんな読書の日々の中で読んだ本のもので、みなさんもよくご存知の、モンゴメリの『赤毛のアン』のアンの独創性のある台詞とか、A・デュマ『三銃士』の冒頭部分、ル・グインのゲド戦記『影との戦い』の中の文章も書いてあります。書いている文章はほとんどなくても、当時好きだったシリーズものの本なども合わせて思い出されてきます。

 文庫のほうで揃っていたモーリス・ルブランの『アルセーヌ・ルパン』シリーズ、コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズ、E・S・ガードナーの弁護士『ペリイ・メイスン』シリーズは好んで読みました。ですが、内容はすっかり忘れていて、読んだという記憶と、タイトルと面白かったくらいしか覚えていないのですが、とても懐かしいです。


 社会人になってからの時期の【ノート】には、仕事の関係で建築やインテリア雑誌を目にする機会が増えまして、その中に書いてあった有名な建築家やデザイナーの言葉や書評や評論がそのまま幾ページにも渡って書いてあったりとか。

 そして、地元の新聞や市政だよりに載っていた当時の知事さんや地元の高校の校長先生の寄稿された文などもそのまま書いてあったりして、驚きです。

 観た映画のパンフレットから抜粋した文章もあります。友達が古典的なミュージカルが好きで、ビデオで観せてもらった映画『サウンド・オブ・ミュージック』、『メリー・ポピンズ』、『マイ・フェア・レディ』の魅力的な音楽に私も心を奪われました。その中の劇中歌が気に入って、英語のまま【ノート】に書いてあります。

 オードリー・ヘップバーンの映画『ティファニーで朝食を』で彼女がギター(?)を持って歌う曲にも惹かれ、その歌詞も調べたようで【ノート】にそのまま書いてありました。この曲、大好きなんですよね。


 【ノート】のページをぺらぺらとめくっていくと、たった一言、1行の場合もあり、長文もありで、長さは様々です。

 苦しいとき、困ったとき、自分の助けになりそうな、いかにも教養書から引っ張り出したような言葉もありました。悩んでいた時期だったかもしれません。

 結婚してからは、何かで読んだ家族や子供に関しての文章を書き残しています。


 読み返してみると、いろいろなことが関連してよみがえって来ます。

 そして、直筆で書いていたので、自分の文字の変化も面白いですね。高校のときは角ばっていた字が、だんだん年を重ねるごとに丸く崩れています。

 

 日記帳と違って、誰かに見られても他人の文章なので、大して恥ずかしくはありません。

 日記も家計簿も三日坊主の私でさえ、何年も続けられました。一度止めても、いつからでもまた再開できます。期限も期間もありません。気が向いたとき、良いなと思える文章、自分が後からまた読み直したい、見たい文章に出会った時、書けば良いのですから。

 残そうと思えば、自分の子供に遺言状代わりに渡せます。いらないなら私の棺桶にでも入れてもらいましょうか。紙なので燃えますし。




 実は、この【自分ノート】の存在をいつしかすっかり忘れていたのですが、最近ほぼ10年ぶりくらいに思い出したのです。

 思い出したのは<なろう>で、新しい物語を祝福する者というお名前で書かれていた、秋月さまの『物語を綴ろうとする方へ』というエッセイを読ませていただいていたときのことでした。

 私にとって印象深い文章がありまして、残しておきたいと思ったのです。

 【ノート】を探して、ようやく見つけましたら、最後の日付からほぼ10年くらい何も書いていませんでした。この10年は思い返すと、確かにいろいろと慌しくて、本も何も文章自体ほとんど読んでいませんでした。

 さっそく、10年ぶりに『物語を綴ろうとする方へ』の中の自分にとって励みとなる文章をノートに書かせていただきました。

 そして最近読ませていただいた、秋野木星さまの『めんどくさがりのプリンセス』『のっぽのノッコ』からも私の心に残った文章をこっそり書かせていただきました。

 皆さんも、自分が心地よいと思えたり、心を打たれたりする文章に出会ったときには、書き残してみませんか。何かの時、楽しませてくれたり、心を浄化してくれたり、励ましてくれたり、立ち上がる勇気をくれたりするかもしれません。


 今回【ノート】を読み直しましたら、これが記憶の扉を開く鍵だったかのように、次々思い出がよみがえってきました。

 そして、自分を気持ちのよい方へ導いてくれる言葉も多数あり、なにより自分が思いのほか面白く感じたので、このような形で【自分ノート】を紹介させていただきました。今書かないと、自分の性格上今後書きそうにないので、書いておきたいと強く思っている今しかないと思い、書くことにしました。

 またあとで読み直したとき、あのころは<なろう>で読んだり、書いたりしていたんだな、と懐かしく思い出すことでしょう。


 

 最後になりましたが、私が【自分ノート】のことを思い出すような、すばらしいエッセイを執筆なさった秋月さま、魅力的なレビューでこのようなエッセイがあるということを教えてくださった長岡更紗さまに心から感謝申し上げます。


このエッセイで記載している著名な方々の敬称は省略させていただきます。


次回以降は、実際どのような文章を書き残して来たかを、著作権法に違反しない程度の引用で少しご紹介したいと思います。作者の【自分ノート】なので、完全に趣味、好みの偏った世界です。乱文かもしれません。ご興味のある方だけどうぞおつきあいください。


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― 新着の感想 ―
[一言]  自分ノート!  日記とか、続かないタイプなので(汗)  金言は胸に刻んどくタイプ。  でも、誰かに紹介するには、記しておくのがいいですね。
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