私の可愛い双子の子と父親
悠絆君が一人暮らしをしている小さなボロアパートに押しかけた私は悠絆君を巻き込んでお神酒と化した純米大吟醸を悠絆君に飲ませながら、一方的に色々な話を悠絆君に話して聞かせた。
お神酒は神様も酔っ払うらしく、気が付けば裸の悠絆君の顔を抱くようにして一糸纏わず寝ていたらしい。
下半身の違和感から何があったかはわかるし、胎内に2つの魂が宿っているのもわかった。
正真正銘悠絆君の子供だろう。
可愛い顔で寝ている悠絆君のそばから離れると私は昨日来ていた羽衣を手早く着付けた。
「さて地球を動かす為に、各国の首脳に話を通さなくっちゃ!」
悠絆君のほっぺたにキスを落として、部屋の窓を開けると、私はまだ暗い夜空へと飛び出した。
それからしばらくは各方面の調整に奔走した、地球を載せる軌道を整えたり先日新しく作った惑星に地球の微生物や植物が生きられるように環境を整えていく。
この調子で惑星の準備が整えば少しずつ人や獣人など多種多様なの生き物を繁殖させて行けばいいだろう。
全ての惑星が軌道に乗った、あとは惑星を導いて行くだけ……。
パンパンに大きくなったお腹を撫でる。
人は産まれてくるまで十月十日かかるけれど、神の子はひと月あまりで産まれてくるらしい。
産まれてくる子供達は男女の双子……いずれこの子達は私の創った惑星の管理を手伝ってくれることだろう。
そうだ、産まれた双子を連れて悠絆君に会いに行こう。
「悠絆君……?」
胸騒ぎに私は産まれたばかりの双子を連れて地球へ飛んだ。
神の子は産まれ落ちたその日から神の手伝いが出来るほどに急激に成長する。
「悠絆君、ねぇ起きて……貴方の子供達だよ」
病院のベッドで冷たくなった身体を抱きしめた。命は脆く儚い。
道路に飛び出した幼子を庇って自動車と人身事故を起こしたらしい。
もう彼の魂は、身体を離れて輪廻の輪の中に戻ってしまった。
「悠絆君を生き返らせる」
「お母様行けません! 神の力を使って摂理を曲げてしまえば、この世界全てを捻じ曲げてしまう!」
双子の兄であるカムイが必死に私を止める。
「カムイ、ミナ私はしばらく輪廻の輪に戻ってしまった悠絆を追います……」
産まれた双子達を見せる前に、悠絆君は輪廻の輪の中へと戻ってしまった。
「母様……輪廻の輪に戻ってしまった魂は記憶を失ってしまいます、お父様はもう……」
双子の妹ミナの言いたい事は分かっている、自分がすべき事も……。
ミナとカムイの小さな身体を抱きしめ、二人に視線を合わせるようにしてしゃがみ込むと、不安げな二人に笑いかける。
「大丈夫よ、少しだけいい子で待っていてね」
私はすぐさま神としての神生をくれたあの場所に飛んだ。