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百万一回目の転生

アルファポリス様で連載していた作品です。完結しましたので「なろう」に転載いたします。

全てはここから始まった。

完結まで毎日更新です。

 どこまでも続く白い雲の上のような空間に無数の浮遊物が漂っている。


 広い広いこの空間を埋め尽くす大小様々な浮遊物は、私の推測が正しければ霊魂と言うものだろうか。


 白っぽい胸元に光る数字と、見たこともないような紋様が無数に並んだ壁の一つに吸い寄せられていく。


 壁には胸元と同じ模様が書かれているようだった。


「はい!次のかた!番号札二十八万四千六百二十四番の方!」


「はいはーい!おれでーす!」 


 同じ模様を胸元に光らせた魂のひとつが呼ばれ、壁際を上に向かって上がっていく。


 呼ばれた魂が向かった先は良く見れば台のようになっている。


「はい!次のかた!番号札二十八万四千六百二十五番の方!」


「はい!私です!」


 番号を呼ばれると同時に自分の霊魂が吸い上げられるような浮遊感を得て、先程の魂と同じように台の端へたどり着いた。


「番号札二十八万四千六百二十五番の前世御山結花(みやまゆか)で間違いありませんか?」


 着物に似た衣を纏った巨大な女性がこちらを見下ろして聞いてきた。


「は、はい、そうです。」


「あら? 貴女は前世で転生百万回目だったのね、おめでとうございます。 初めてだわ! 私の世界で百万回転生達成者は。 はい、来世の説明があるから奥の部屋へ行ってね」


 ポン! っと黄金色の太陽のようなデザインの印鑑を胸元の数字の上に押すと数字が消えて太陽マークが輝きだした。


 示された先にある扉へ向けて進むと次の魂が呼ばれた。


「はい!次のかた!番号札二十八万四千六百二十六番の方!」


 通された部屋はとても幻想的な部屋だった。  


 部屋を仕切るよう壁のように常に水が瀑布のように流れているが、不思議と水音はない。


 キラキラと光を反射して色を変える水壁が美しい。


 部屋には私の他にも二つ魂が居たが、その胸元に輝く紋様が違うことから、他の机の魂なのかもしれない。


 どうやら私で最後なのか、入ってきた扉が閉まるとほどなくして銅鑼が鳴り響き、目の前の瀑布がまるで御簾が上がるように左右に割れた。


 瀑布の向こうには水晶のような玉座があり、一人の女性が座っていた。


 目が覚めるような美しい青の衣装は漢服に似ているだろうか。


 詳しい名称はわからないが、韓流映画やアニメ等で何となく見たことがある気がする。


 複雑に結い上げられた豊かな黒髪には金色の簪や色鮮やかな玉が嵌め込まれた櫛が飾られている。


 大変美しいが、長い髪やら装飾品やらで首が痛くならないのかと不安になりそうな盛り具合だ。


 透けるような透明感の肌と、紅く染まる唇は蠱惑的といえるだろう。


「ほほほほっ、あなたたちが此度の長き転生を越えし者ね? 幾万もの時をかけ良くこの場にたどり着きました。 霊魂の多くは度重なる転生に耐えきれずに百万回を迎えることなく消失しちゃうのに」

 

 鈴を転がすような声で話す美女の話からどうやら知らないうちに偉業を達成していたことを知る。


 百万回って人類学的に可能なのだろうか?


「輪廻転生の輪の始まりは目にも見えぬ小さき命から始まるからね。 転生の度に生きた年月が魂に蓄積されることで成長するのよ。 ちょうどあなたたちのようにね」


 目に見えない小さき命って、ウイルスとか微生物とかミジンコとかプランクトンとかそう言うことなんだろうか。


 うわー、私の前世は細胞ですっていやだぁー。


「ふふふふっ、そんなに顔をしかめなくても皆始まりは一緒よ。さて、その魂の形じゃ発言も出来ないわね」


 美女が高らかに二度掌を打ち鳴らすと、胸元が光だしあまりの眩い光に眼を瞑る。 まぁ実際には霊魂に眼はないわけだけれども。


 光が収まった時、私の前には透き通るような白い肌のキメ細やかな綺麗な手があった。


 真っ白な着物と、サラサラの真っ直ぐな黒髪は触ってみれば艶々と輝き枝毛や傷みなど全くない。


 隣を見れば、燃えるような赤い髪を後ろに流し、まるでライオンのような顔をした野性味溢れる前世ではたしか獣人と呼ばれたファンタジーな種族と、白い肌に金色の髪、尖った耳が特徴的なエルフっぽい美青年が立っていた。


「さて、あなたたちには今より、あなたたちの出身星がある第四宇宙で神として働いてもらうから」 

 

 と、美女様が申しておりますが、ちんぷんかんぷんです。 まず第四宇宙って何よ?


 そのあと美女……第一宇宙から第十二宇宙まである世界の創造主らしい女神様の言うことにゃ、私達三人は転生を繰り返して修行を積んだため、神として創造主様が使役出来るようになったそうな。


 私が暮らしていた地球、本当の名前はすごい桁の番号らしいけど、地球があるのが第四宇宙と言う宇宙らしい。


 第四宇宙は比較的新しく造り始めた宇宙らしく、第六宇宙を創る合間に手をつけたものの、途中までつくって飽きたらしい。


 それで暫く放置していたが第六宇宙が軌道に乗ったため、改めて第四宇宙を造ることにしたらしい。


 ただ第七宇宙の立ち上げまでの期限が短いので、神員を増員して第四宇宙を立ち上げることに決めたらしい。


「材料は第四宇宙内の生き物がいない小惑星を使って構わないわ。 好きにやっていて頂戴? 創造に必要な知識はその姿を形造る時にいれておいたわ。 それじゃぁばいばーい!」


 スッゴク良い笑顔で女神様が手を振ると、パカッと足元が消え失せた……。


「うぎゃー!」


 

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