1/4
夕立
そばに居れることが当たり前なのなら、
私はこんなにも君を望んでいない。
せめてこの雨が止むまでは
ずっと、此処に居たいと思う。
ふたりで使う傘も、昔こそ当たり前だったけれど
今のふたりが入るとなぜだか少し、滑稽に思える。
私の、ピンクと赤を使った傘に君はもう、似合っていなかったし、
なにより私は、傘なんて持っていないと嘘をついた。
「雨、止まないな」
バックに入っている折り畳みの、傘。
差し出してしまえば、もうこの時は終わるのかも知れない。
だから私は君に嘘をつく。