クリスタル
それはつい、この間のこと。
ざぁざぁと強く、振る、雨。
ざっざざぁ。
壁を打つ雨。
屋根を打つ雨。
窓を打つ雨。
だんだんだん。
歩いている僕を。
傘の上から、叩く雨。
叩かれて、叩かれて、すり減った窓の向こう。
叩かれて、叩かれて、疲れ切った、君の上。
雲から降り注ぐ、透明な雨粒が。
いつの間にか、一つ、一つ。
太陽の光を浴びて、固まっていく。
そう。
降る雨に、気持ちはない。
降り注ぐ雨に、悪意はない。
そこに何かを感じるのは、人の、エゴ。
そこに、何かを映すのは、人の感情。
エゴに叩かれるから、痛い。
感情を映すから、悲しい。
何も感じないように、ただそこに。
あるものだけを見つめたら。
雨上がりには。
大小さまざまなクリスタルが、いまだ降り注ぎ。
散乱された光が、綺麗な虹の橋を。
それだけは、変わらない。
太陽は、いつも温かい。
だから。
よく見なよ。
きっと、反転して、ふたつ。
きらきら。
混ざりっ気なし。
硬度七度。
硬い気持ちを、噛み締めよう。
たまには、前向き。




