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明鏡止水の姫兵器  作者: 虹燕
6/10

秘密

放課後の第二演習ドーム。普段なら誰もいない体育館ほどの大きさの建物だが、今日は緊張に包まれていた。

特別授業がいよいよ始まろうとしていたのだ。


「よし、そろったな」

監督官(かんとくかん)かつ教鞭(きょうべん)をとる篠宮師匠(せんせい)の言葉で場が引きしまる。 普段の授業ではここまで緊張はしないのだが、やはり何をするのかわからない恐怖がこの場の4人の意識を集中させていた。


「今日こうして集まってもらったのは、UNHの新たな秘密を君たちに習得してもらうためだ」

カレンとセーレが顔を見合わせる。UNH本人であってもそんな機能には心当たりがないのか(いぶか)しげな表情を浮かべ、師匠に向き合う。


「その秘密とは何なのですか?」

「そう慌てるな、まずはお前達にリンク率を測ってもらおう。この秘密に大いに関係があるからな」


事前に予想していた<死ぬほど辛い授業>ではなく、リンク率などという簡単なことが大切なのかと疑問に思う。

実戦訓練、軍隊式の体力作り、膨大な作戦などの暗記。広い演習ドームを使った特別授業なのだからこの程度はあるかと思っていたのだ。


しかし、まだ内容を知らない限り油断はできない。早く知りたいというじれったい思いにかられながらも、言われた通りリンク率をはかるため、2組の声が重なる。


「「「「リンク・メジャー」」」」


不具合もなくカレンとセーレの脳内処理システムによりリンク率が弾き出される。

どうせなら少しでも上がっていれば喜ばしいのだが、前回測ったときからそんなに長い時間がたっているわけでもないので、そう大きくは変わらないだろう。

「シンクロ率70%です」

カレンが告げた数字はやはり予想通りのものだった。

「ふむ、ユミ達はどうだ」

「71%です」

「ふふん、どうよあなた達より上ね」

「は、すぐに抜かしてやるさ」

ユミとは実力がほぼ同じなのでこうしてシンクロ率もその時々によって勝ったり負けたりしている。もちろんシンクロ率が強さの絶対的パラメーターではないのだが、重要な資料にはなる。


「では特別授業を始めるが、そもそもシンクロ率とはなにかわかるか?」

質問の内容は基本的なものであり、理解しておくべきものだ。

即座にユミが反応し、回答する。

「UNHと使い手の連携にかかわる数値です。わかりやすく言うと心の距離と言い換えれます」


「その通りだ。この数値は戦闘能力を可視化し、分類するために重要な数値だ。

しかし、現在我が国で一番UNHの使い手が多く、研究が進んでいるこの鏡原学園でもその平均値はまだ40%ほどであり、その中でお前らが70%という飛び抜けて高い数値を出しているから、ここにいるわけだ」


ここで一度篠宮師匠は言葉を切り、次の言葉をすこし選んでいるかのような間をおいて話を続ける。


「つまりお前たちは言ってしまうと実験の大成功例……モデルケースなのだよ。

そこで政府(うえ)からのお達しで、お前たちに新しい目標が告げられたのだ。

6ヶ月以内にそのシンクロ率を100%まで向上させ、UNH第二形態<Wisdom•Arms>を発動させろとのことだ」


隠された第二形態。驚愕の事実だ。

Wisdom•Arms-直訳するとすれば英知の武器といったところか。

第一形態でさえ、高いリンク率が必要という条件があるが、兵力は2倍になり、コンビネーション次第では3倍にもなれるUNHだ。


まだそこまでの使い手が少ないので、そこまでの脅威になっていないかもしれないが、その第二形態となると、使い手の数が少なくとも、世界をひっくり返すことさえ可能かもしれない。

これほどの情報であれば特別授業ということで時間が取られるのもわかる。


さらに、わざわざ実験台などというキツイ言葉を使うということは失敗は許されない。失望させてはいけないということだ。


「しかも6ヶ月なんて……70%にするまでにもここまで1年半かかったんですよ!?ここのからは数値も上がりにくいってよく聞きますし……」

「それをなんとかできると政府(うえ)に思われているからこうして命令がきているのだ」

「でも……」

「言い訳は聞かん。各自努力しろ。相談があれば後日聞いてやる。

以上本日の特別授業は終了とする」


カレンやユミの反論も一蹴され、篠宮師匠は立ち去ってしまった。


「どうすればいいのよ、こんなの…」


残されたのは無謀すぎる課題と4人の優秀な実験台(せいと)のみだった。

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