小説家になろう最強主人公ランキング一位を本気で目指す神と男の物語
俺はトラックに轢かれた。
そして気づけばどこか知らない空間にいた。
目の前には男がいた。
「うわああぁぁ!痛えっ!……ってここはどこだ!?俺はどうなったんだ!?」
『まぁ待て、落ちつきなさい』
「お前は誰だ!」
『私は神。ある業界では転生神と呼ばれている』
転生神? よく分からないけど、つまり俺は死んだという事か?
そんな俺の状況を、神と名乗る男はただじっくりと眺めていた。
こうまったりされると、俺もパニックを起こすに起こせない。
『私は君に特別な力を授けようと思う』
「俺に? でも俺は死んじまってるぞ?」
『なぁに、君はすぐに生き返る。新たな命として、な」
なるほど、そういえば転生神と言っていたな。
でも特別な力って何だ?
『特別な力について気になる様子だな。だが、これに関してはまだ決まっていないのだよ』
「決まっていない?」
『そうだ、君には最強の主人公になって貰わないといけない』
「最強の……主人公?」
言っている意味が分からない。
『君は生前、「小説家になろう」という場所で小説を書いていただろう?』
「あぁ」
『それで、君は小説を書いていた。間違いないね?』
「その通りだ」
『実は私は今困っている。とある事情で「小説家になろう」の中で最強の主人公を作り出さないといけなくなってしまった』
「はぁ」
『そこで、君には最強の主人公になってもらわなければならない。ここまでは分かるか?』
「なるほど、まだ飲み込めてはいないですが何となく分かりました」
最強の主人公?
魔法を使ったり、剣で何でも切ったりするんだろうか。
『君は最強の主人公と聞いて、何を思い浮かべるかね』
「そうですね。時間を好きに移動できたり、魔法を何でも使えたりですか?」
『なるほど、確かにそれは強い主人公ではある。でもそれは「小説家になろう」最強の主人公ではない。たまにいるぐらいの強さだ』
「確かに」
俺も生前似たような作品を読んでいた事がある。
山を吹き飛ばしたり、無限に再生したり。
でもそれでは最強とは言えない。
『君は、ATKが最強の主人公はどう表す?』
「うーんそうですね……」
俺は地面が雲な事に気づくと、指で文字を書いた。
ATK 999999999999
ATK 無限
ATK ∞
ATK 測定不能
「えっと、こんな感じですかね」
『四つも出す事が出来るのは流石、アマチュアでも作家と言ったところだろう』
「へへへ……それほどでも」
『だがな、それは最強ではない』
「……!」
『君は生前、この作品を見た事があるかね?』
「いいえ……」
名前ぐらいは知っているロボットアニメだった。
しかしこれが一体……。
『この作品はな、最後には宇宙で銀河を投げたり、盾にする程の巨大化をする』
「銀河を……?」
『しかも、それはテレビ版の事だ。映画版では更にもう一段階上に巨大化する』
「なっ……」
たしかにそこまで行くと山を吹き飛ばすとかどうでもよくなる。
しかし、そんな事言われても転生してそんな巨大ロボットになることは出来ない。
『君はさきほど、「ATK 999999」等と表記した。だが、このロボットはATKではいくつだ?』
「無限……測定不能……いいや、そんな表現では生ぬるい」
『そうであろう?』
「だが、じゃあこのロボットみたいに強くなれる設定にすれば!」
『残念ながら、このロボットは最強ではない。「主人公最強wiki」というものに、もっと強い主人公がいる作品が存在する』
「もっと……つよい?」
そんなものが存在していたのか。
しかし、ならばその最強の主人公を真似ればいいのではないだろうか。
『その主人公を真似る。お前はそう考えるだろう。でもそれではだめなのだ』
「と、言うと?」
『私は主人公最強を作らなければならない。それは過去だけでなく未来にも降臨するような』
「なるほど」
『今後真似してさらに強い設定を出す転生神がいるかもしれない。私はそいつにも勝たなければならない』
「そこで、元作家である俺の力を貸してほしいと?」
『その通りだ。君が望むのなら、どんな力をも授けよう』
「なるほど、時間をください」
『それが君の望みなら、100年でも200年でも』
それから俺は三日三晩考えた。
そして、神にあるチートを要求した。
それから、俺は生まれ変わり育った。
名前は湯羽 熱居というものになった。
俺が求めたチートはただ一つ。呪いだ。
どんな強い作品でも、どんな強いロボットでも弱点はある。
それは、元になったデータや原稿、セル画等が全てダメになってしまったら生まれないという事だ。
俺が最強になるべきなのは「小説家になろう」だ。
ならば簡単である。
俺はこの小説「小説家になろう最強主人公ランキング一位を本気で目指す神と男の物語」に呪いをかけた。
それはこの小説を読んだ作者や読者へのものだ。つまり、これを読んでいる君たちだ。
君たちには呪いがかかり、リアルが急激に忙しくなるようにした。
作者は執筆に裂く時間が無くなり、読者もスコップに励む時間を失う。
無職だから問題ない?そんな君にはネットにつながらなくなる呪いをかけよう。
まさに「小説家になろう」最強の主人公と言えるだろう。
こうする事により、小説家を牛耳るという不動で最強の主人公になることができる。
だが、俺も鬼ではない。救済策を設けてある。
もしこの作品の感想に「湯羽 熱居さんかっこいい!」と書いたなら、その呪いを解除しようではないか。
あるいはお気に入りに登録するか、評価ポイントを入れるのでもいい。
では、君の判断を教えて貰おうか。