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双剣の舞姫  作者: 黒猫るぅ
舞姫、剣豪の弟子を奪う。
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 翌日、朝早くからバンキムと剣の稽古をしていたキーエンスを呼びに、イオがやってきた。


「おはようございますバンキム様!キーエンス、母上が待ってる、僕の乗ってきた馬車で家へ行くといい」


「えぇ?」


 本気だったのか…。


 キーエンスは迷う。今まで想像もしたこともない。自分が舞いを踊るなんて。

 けれど、ナナイの任がなくなった今、どんな生き方ができるか探さなければならない。


「…わかりました」


 嫌だったら、すぐに断ろう。

 そう決め、キーエンスはバンキムに礼をすると、馬車へ向かった。


「バンキム様の剣を継ぐのは、やはりキーエンスなのですか?気を悪くなさったのでは?」


 イオは気まずげにバンキムを見上げる。


「別にいいさ。あれだけの舞姫に習うんだ。糧になりこそすれ、無駄にななるまい。キィは女だからな、剣のみで戦うには限度がある。あらゆる技能を身につけて損はない」


 イオを見下ろし、にやりと笑う。


「僕は男です!一生懸命やります!教えて下さい」


「訓練所にはサボらず行けよ?古代語も習うんだろう?キィは礼儀作法もばっちりだぞ」


 イオはぐ、と唇をかむ。どうやら礼儀作法は苦手らしい。


「エビネ家の嫡子なのだ。いずれ王族と深く関わることもあろう。作法は礼に繋がる。しっかり学べ」


 はい、と元気のいい声が、カダールの屋敷に響いた。


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