EP1 上編*そこは欲望の渦となる
さて困った事が発生した。
寮に戻ったはいい。だが――――着替えが男物しかないし、それに着替えようとしてルームメイトの男子が写真を撮るし。
で、今自分はそんなこんなで寮長室に来ていた。
目的は女子寮への移動だ。
「………よろしいですか?」
寮長は自分と同じ幽霊族だ。彼はよく自分の相談にも乗ってくれていた。
「いいだろう。しかしお前も大変だな。またうまい酒でも飲むか?」
幽霊族は体質が人間と異なるので、こういうことができる。しかし、
「……い、いや、酒はやめてくれ……。すまん…。忘れろ……」
彼はいつも自分から誘っておいてこうなる。彼自身酒には強いので他の理由だろう。
……あれ?身に覚えがないな…。
「……?どうしてですか?」
口調がどうも意識しなくても女々しくなる。そのうち考えることまで女っぽくなるんだろうか。
「……いや分からないなら良い。じゃあな」
「……はい。では、また。一緒に飲めるといいですね。」
そのときの彼は何故か顔を青くしていた。
さて、女子の寮長にはもう話は通してあるので、早速指定された部屋に向かう。
まだルームメイトが見つかっていない人がいたそうだ。
丁度いいのでその部屋にして貰った。
扉をあけると―――――、
「えへへ、ひーちゃん!」
バタン!扉を急いで閉める。
あぁ。頭が痛い……。
「ちょっとぉ!何でドア閉めるのよ!!」
ドカン!ガラガン!!扉が吹っ飛ぶ。
「………輝。ドアを破壊するのは……やめてくれる?」
まさか輝がルームメイトとは………。大丈夫だろうか。
「うんうん!大丈夫だよ!!」
なんで心がわかるんだ。……というか、騒がしいな。
「わ~い!ひーちゃんがルームメイトだ~」
ピョンピョンとはね回っている。
輝はサキュバスより猫又のほうがお似合いだろう。
何故神はこうも適当に生命を創るのだろう。
嗚呼…………。
「さ♪早速お風呂入ろっか」
………へ?
下編へと続きます。
感想などをドシドシください。
お楽しみに~