表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

推しの話をする二人の時間

作者: 夜空タテハ
掲載日:2026/03/29

「推しには恋愛結婚はしないでほしいけど遺伝子を残してほしいんだよね」

「……なんて? いや、とりあえず聞くけど」

 私の言葉に、ミツハは少し呆れ気味にそう返す。この話をしたら、そんな反応をされるような気はしてた。

「推しは恋愛とか結婚とかしないでほしい、それはわかるよね?」

「……まあ、それはわかるよ。で?」

「でもさ、推しは顔面国宝で天才で最高なビジュ……いやビジュだけじゃなくて、人間として最高すぎる存在だから、そんな人間が遺伝子を残さずに亡くなるのは世界にとっての損失だと思うわけ。だから、推しの遺伝子はこの世界に残してほしいの」

「……クルミ自身が推しとの子供が欲しいわけじゃなく?」

「そんなわけないでしょ? 私なんかじゃ推しと釣り合わないよ。っていうか推しと釣り合う人間なんて存在しないよ? だから誰かとの子供じゃなくて遺伝子を残してほしいの」

 遺伝子を、の部分を特に強調した。ミツハは呆れた様子で私を見ている。

「……まあでも、子供じゃなくて遺伝子を保存するだけなら、もしかしたら可能なんじゃない? 推しがやってくれるかは別として」

「でもさぁ、推しの子供の姿を見たい気持ちもあるじゃん……?」

「言ってること違わない?」

「だからぁ、推しの遺伝子を残した子供はこの世界に残ってほしいけど、恋愛とか結婚とかは無しで、子供を作る相手も無しで、推しの遺伝子だけでどうにか子供を残してほしいの」

「……それは、いわゆるデザイナーチャイルドみたいな、SFの話?」

「私は真面目な願望として話してるんだよ」

「いやー……それは現代の技術じゃ無理な話でしょ。っていうか、倫理観がダメじゃない?」

「……やっぱりそうなる?」

「そうなるよ。っていうか、クルミはもしかして、人間として遺伝子が優秀な存在だけが子供を残していいと思ってる?」

「そこまでじゃないけど、推しは存在が世界の宝なんだから遺伝子を残してほしいわけ」

「いや、……それはつまり、推しが人間として貴重な存在だからって思ってるんじゃん?」

「それはそう」

「それはよくない考え方だと思うなぁ」

「……そこからダメなら、私の考えが根本的にダメじゃない?」

「だからそう言ってるんだよ」

 ミツハはそう言って軽くため息を吐いた。

「そうなのか……そうなのかも……? わかんないな……」

「クルミはさ、じゃあ、例えば、クルミ自身の子供が欲しいとは思わないの?」

「いや私なんか人間として価値がないから。害しかないから。子供なんて望めないよ」

「その考え方がよくないよ、って話」

「……そっかぁ……?」

「わかんないなら、今はまだわかんないでいいよ。……クルミはもう少し自分自身を大事にするほうがいいと思うけどね」

「……んー、まあ、とりあえず聞いてくれてありがとね。で、さ、今度のライブなんだけどー……」

 二人で次のライブの予定や推しの良さなどを語り合っていたら、時間があっという間に過ぎていた。こういう時間が、私は大好き。


〈了〉

※念のため言っておきますがこの話はフィクションです。作者の思想ではありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ