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ルークスの左遷

1.王子との葛藤


 第一王妃の崩御により、王妃護衛隊は解体され、

 その人員は騎士団へと編入された。

 私はその中で小隊長を拝命し、

 王国の剣として、順調に階段を上っていった。


 その折、王子ベルトラン殿下の奇策が奏功し、

 王国軍は帝国領深くへと侵攻することに成功する。

 私は“あと詰め”として召集され、

 前線を支える役割を担った。


 だが、進軍は順風満帆ではなかった。

 さらなる侵入を目指す中で、補給線の確保が困難となり、

 殿下は略奪を許可した。


 私は思った。

 帝国民に罪はない、と。

 剣を持たぬ者から奪うことは、

 王国騎士の本分ではない。


 私は最初、無言の抵抗を貫いた。

 略奪命令を実行せず、

 民の前に剣を向けることを拒んだ。


 やがて催促が届いたとき、

 私はついに声を上げた。

 「民心を考えよ」

 「恐怖で得た土地は、必ず刃となって返る」

 その啖呵は、

 王子の逆鱗に触れた。

 結果として私は疎まれ、

 王国の最果て——

 鉄鉱山の管理人として、左遷されたのである。



2.左遷の真実

「……はい、ここから検証入るわよ」

 アヤが淡々と言った。

「まず、“順調に出世して小隊長”ってところ

 それ、出世って言う?」


 ハルトが首をかしげる。

「騎士団なら、小隊長って普通に現場職だよね」


「だな」

 ダリウスが頷く。

「順調なら中隊、副官、参謀が見えてくる」


「……」

 ルークスは視線を逸らした。


「あと、“あと詰め”って書いてあるけど」

 ミツキが続ける。

「それ、一線級じゃなかったってことだよね?

 前線任せられてない、って意味では?」


「……」


 さらにアヤが追撃。

「まず確認。

 ここ、“民心を考えろと啖呵を切った”って本には書いてあるけど」

 言ってないわよね?」


「……言ってない」

 ルークスはあっさり認めた。


「だよね」

 ハルトが頷く。

「啖呵切ってたら、

 鉱山“管理人”じゃ済まない」


「俺と同じ立場になってたな」

 ダリウスが静かに言う。

「鉱山“奴隷”だ」


「そこは本も誤魔化してるよね」

 ミツキが本を叩く。

「“左遷”って言葉で、

 かなりマイルドにしてる」


「実際はどうだったのですか?」

 アリアが尋ねる。


「……扱いづらくなった」

 ルークスは率直に答えた。

「王子にとっては、な」


「正義の騎士じゃなくて」

 アヤがまとめる。

「補給の現実を理解していて

 感情で動かず

 命令に全面同意もしない」

 そりゃ邪魔かもね」


「英雄記だと」

 コージが肩をすくめる。

「“慈愛の騎士が啖呵を切って追い出された”

 実際は?」


文がそれを引き継ぐ

「“空気を読まない現実派が、

  安全な場所に追いやられた”

 が本当のところじゃないの」


 ルークスは苦笑した。

「……その通りだ」


「でもさ」

 ハルトが言う。

「それ、英雄じゃないけど」


ミツキが引き継ぐ

「信用できる上司ではあるよね」


「だから困るのよ、この人」

 アヤが即断した。

「盛ると嘘になる。

 削ると地味になる

 歴史的に一番扱いにくいタイプ」


 アリアが微笑んだ。

「英雄ではないけど、悪い人でもないですね。

 では次は我々との出会いの鉱山編」


 全員がルークスを見る。

「……あそこは、君たちに悪いから避けないか?」


「いや、あそここそ検証してほしい」

「そうよ、私たちがどう描かれているか」

「歌を認めるまでがどう書かれているのかな」

「あの時は本当にひどかったから」

「赤子の時から私の知性に気づかれていた英雄さんは

 あの時どうお考えだったのか知りたいですね。」


 ルークスは覚悟を決めて、天井を仰いだ。

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