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第3話 後始末。

客間に通されて、風呂に入る。ついてきたのはメイドではなく、女性騎士。あの騒ぎの後だしね。


もう日が陰ってきた。水にぬれて冷えてしまったので、お湯はうれしい。

あの後どうなったかしら?医者が呼ばれてたわね?

イングリットの周りには人がたくさん集まって、よく確認はできなかったけど。


ふふっ。


あら、ダメね。泣いていなくっちゃ。


持ち込んだ短剣は、池に捨ててきた。

どこからか飛んできた短剣をよけたことになりそうね。まあ、いいわ。


騎士が気を利かせて暖炉に火を入れてくれた。髪を乾かしていると、ドアの外に立った護衛が来客を告げる。


「・・・アグネス?」

「陛下…。」


「大変だったね。何があったか、教えてくれないか?」

「ええ…。妃殿下は?」

「今、医者の診察を受けている。どうなるかはわからないが…。」

「・・・・・」


あんなことがあった後だからか、珍しく陛下が近衛を引き連れている。


「・・・妃殿下とお散歩をしておりましたら、茂みの向こうに賊の気配がいたしまして…」

「・・・・・」

「思わず妃殿下をかばいましたら、池に落ちてしまいまして…。」

「ああ。池から賊の投げたらしい短剣が見つかったよ。」

「そうでございましょう?剣は避け切ったのですが…。」


「・・・そう…。」


陛下は、泣きそうなお顔だ。イングリットの具合が悪いんだろう。


「アグネス?」

「はい。」

「・・・私は、長いこと教育係を務めてくれたお前が、とても好きだった。」

「え?」

「やはり賊に襲われた私を、助けてくれたね。」

「ええ。そんなことがございましたね。あの時の賊は返り討ちにいたしましたが…。」

「ああ、アグネス?今回はね、賊は敷地内に入っていない。手引きしたメイドごととっくにとらえてある。だから、あそこに短剣を投げた賊がいるはずはないんだよ?」

「・・・え?いえ…。妃殿下にお聞きいただければわかりますわ。」


「・・・アグネス?私も妃も、本当にお前が好きだった。」


「殿下?」





*****



王城に入り込んでいたアグネスメイド派遣協会から派遣されてきたメイドはすべて呼び出され、事情聴取になった。全部で6人。アーダたちを入れると、9人になる。

いろいろな部署に配されていた。アグネスは協会の執務室にいても、手に取るように内情を把握できたわけだ。





「・・・それで?アグネス、いや、フロンティーナ、お前の目的は何だったんだ?」


国王と補佐役のリーンハルト、モーリッツ公爵が席についている。後ろには護衛と侍女が控えている。もちろん刑部の書記官も。


拘束されたままのアグネスが、髪を振り乱して叫ぶ。


「復讐よ!わかっているんでしょう?私の人生をめちゃくちゃにしたアンタたちにね!」

「・・・すべて納得して嫁いだのではないか?」

「納得ですって?そんな選択肢が私にあったと思う?娘が行きたがらなかったからって、身代わりに華国の後宮に出され、子供ができなかったからって返されて…そのままだと人聞きが悪いからって後妻に出されて、夫が死んだから返されて…。」

「・・・・・」

「子供が欲しいですって?子供ができたですって?そんなの許せないわ。」

「・・・・・」

「あんたのこともね、殺そうと思えばすぐにでもやれたのよ。でもそれじゃ、長い苦しみになんないじゃないの?あんたはね愛する人とは子供ができなくて、養子をとって…その養子も命を狙われるのよ…。ちょうどいいでしょう?あの女の、私を後宮に入れた女の孫?あははっ!」

「・・・・・」

「・・・クラウディアは、なぜ?あなたに関係ないだろう?」

「あの子自体はね。兄上が息子の生末を苦悩するのが楽しかったのよ。貴方もねリーン、あの子を諦めて、愛のない結婚をするのよ。可哀そうに。子供は王室に取られるけどね。殺されちゃうかもしれないけどね。うふふっ。あははっ!あなたはすぐそこにいる愛する人の手も取れずに、一生苦しむんだわ。誘拐された令嬢なんて、嫁に取れないものね。愛人にすらできないわ。いい気味よ!」

「・・・・・」


黙って泣いていた公爵がようやく口を開く。


「・・・フロンティーナ…。なんてこと。」

「まあ、兄上。男のあなたには一生かかってもわからないでしょうね。私だってあの時、婚約者がいて、夢も見たのよ。帰って来てみたら、あの女とさっさと結婚していたわ。子供までいて…。わからないでしょう?ね?」

「・・・・・」

「さあ、茶番はおしまいよ。あんたのおじいさまを呼んできてちょうだい。罰を受けるのが誰なのか、わかるでしょう?私をこんな扱いしたことを後悔させてやるから。」

「あの方は、幽閉した。」

「は?なんですって?」

「こちらも…お前の組織を使わせてもらっていた。協力者だと思っていたからな。」

「・・・・・」

「それを差し引いても、お前の罪は重すぎる。」

「は?死んだの?イングリット?うふふっ。」


「・・・イングリットは3日前から、実家に帰っている。」


「・・・は?」



控えていた侍女が一人、前に出て、結い上げていた髪をほどく。

流れるような金髪。


「アメリー?」


「いえ。ミアと申します。」

「あんたが?え?」

「3月とはいえ、池の水はまだ冷たかったですね、部長?」

「は?」


「じゃあ、あんたはアーダ?」


短い金髪と、青い目の侍女。

「いえ。クラウディアと申します。」

「・・・あんたのことは、もう一度しつけなおさなくちゃね。」

「・・・・・」

「部長にご教授いただいた通り、雇い主の身の安全を第一に考えましたが。何か問題がございましたでしょうか?」

「は?」

「そのために最善の方法を取らせていただきました。もう、すっかりきれいになりますよ?」

「・・・・・」












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