7. ばれた
その日は気持ちがいいほど晴れていて、今思うと何故あんなことを言ってしまったのかと頭を抱えるほど、その日のわたしは迂闊でした。
「今日も婚約破棄のため、ヒロインちゃん探し頑張ります!」
あれから1 年もの間ヒロインちゃんを見つけられないわたしは、喝を入れるためにも声に出して決意表明をしてしまいました。そう、声に出して、です。
どんな人が聞いているかも、聞かれたくない人に聞かれているかも、わからないのに、です。
「へぇ、婚約破棄したいの?」
「...ふぇ?」
「ふうん、へぇ。そう、婚約破棄ねぇ~」
「し、しぇーと、さま...?」
どうして、こちらに?いつもこんな朝からいらっしゃらないのにっ!どうして!
「ねえ、リズ?俺と婚約破棄したいの?」
お、俺っ?!はじめて聞きました。萌え。
っじゃなくてっ!
「...」
なんて答えるのが正解なんでしょうか?!婚約破棄したいのは本当ですっ。でも、知られたくないですし...
....あれ、何で知られたくないの?
?、??どっどうすれば?!
「..そ、ならいいや」
「えっ?」
「しばらく来ないよ」
「なっなんでっ?」
「なんで?婚約破棄したいんだろ?だったら会わ
ないほうがいい」
ツキッ
?胸が、痛い?なぜでしょうか?
...いえ、ともあれ、あっさり進みましたね!
「そっそうですね!では!」
「...うん」
うまくいったことに喜んでいたわたしは気付きませんでした。シェート様の独り言に。
「...なんてね。離す訳がないだろ?俺の最愛。逃げるなら俺にずぶずぶに溺れさせてあげる」
のちにわたしは後悔することになります。いえ、すでに後悔していたのかもしれません。婚約破棄を望んでいると、聞かれてしまったことを。