4. 12歳のアマリリス
そんなこんなで12 歳になりました!
あれから余裕が出てきたらしいシェート様は月2から週2にまで来る回数を増やしました。
ますますわたしがキャパオーバーする出来事が多くなったり、スキンシップが増えてドキドキしっぱなしだったりと、色んなことがありましたがそれは置いておいて。
その間わたしは思いました。やはりシェート様はわたしにはもったいない方だ、と。
もちろん、シェート様に恥はかかせられませんのでお妃教育や交流はしっかり行なっていますが。
...ときどき聞こえてくるのです。
『12 歳差なんて、殿下が可哀想』『何もできないくせに』『釣り合っていない』
どれも的を射ていて、ぐうの音も出ません。
それに、わたしの役目は悪役令嬢。元を正せば、ヒロインちゃんの恋の当て馬です。
そこで、わたしのこの4 年間、シェート様に嫌われること、ヒロインちゃんを助けることを目標とします!
何よりの目標は卒業パーティーで断罪され、シェート様との婚約を破棄すること、です。
...なぜか心が痛いですが、精一杯頑張ります!
─────
今日は待ちに待ちに待った入学式!
ヒロインちゃんに会えるんですよね?!
~~~っ!楽しみになってきました!
「...同じクラスだといいなぁ~っ」
「誰と?」
「ひゃっ?!」
び、びっくりしました!
「し、シェート様っ?!どうして...?」
今日はいらっしゃると聞いていません!
「入学式だろう?誰より早くリズの制服姿を見た
かったんだ」
「そっそうですか」
「で?誰と、同じクラスになりたいの?」
誤魔化せませんでした。こ、怖いですっ!目がすわってます。
「ア、エト、オトモダチノ、オンナノコト」
「...ふうん?」
怖いですっ!でもここで本当のことを言っても、男の子の名前を出しても、いやそっちの方が怖いですっ!
「まあ、男じゃないなら良いけどね」
「ほっ」
深掘りされなくて良かったです。
「じゃあ行こうか」
「ど、どちらへ?」
今から入学式だから、あまり遠くへは..
「どちらって、リズの入学式だよ?悪い虫が付かないように牽制しないと」
「いえ、わたしなんかに興味がある人も少ないと思います」
「甘いね。リズは精霊よりも可愛い容姿に、女神よりも綺麗な心を持っているだから牽制なんていくらしても足りないよ」
「な、なななっ?!なにをっ」
突然の甘々攻撃に顔が赤くなるのを感じます!
「ほら、可愛い」
ニコニコとそんなことを言う婚約者に、婚約破棄を望んだらどうなるのか、アマリリスには知る由もなかったのです。