11. おもい
あれから、どれほど経ったんでしょうか?
1 時間のようにも、1日のようにも、はたまた1週間のようにも感じる、不思議な感覚でした。
わたしは、ずっと、ずーっと、シェート様について考えました。
シェート様を思い浮かべると、きゅっと胸が苦しくて、恋しくて、さびしくて、嬉しくて。
いろんな想いがぐちゃぐちゃになります。
この想いが、なんなのか、わたしにはわかりません。でも
「想いは一つになりましたっ」
これが一つなのかはわかりません。けれど、不思議とわたしはこのぐちゃぐちゃな想いが、愛しいです。
自覚してしまうと、募って、さびしいがどんどん大きくなっていきます。
「さび、しい、です。シェート、さま」
つい、口に出してしまいました。でも、
これでいい気がします。ご本人の前で、いう勇気はまだありません。
「シェート様を想うときゅってして、胸が苦しいです。でも、嬉しくて、また会いたくて声が聞きたくて、会えないとさびしくて、」
ああ、かたちになっていきます。さつきまでぐちゃぐちゃだった想いが、一つに、一言言うたび、声に出すたび、かたちになって、名前がついていきます。
「シェート様、わたしは、わたしはっ」
こんなに、そばにあったのに、気づきませんでした。...わたしは、わたしは
「あなたに、恋をしています」
ぽろぽろと、涙が流れていく。
そうです。このぐちゃぐちゃな想いは"恋"ですっ!
気づきませんでした。
でも、愛しかった。
でも、来ない日はさびしかった。
でも、触れられると嬉しかった。
でも、女の人と話すと苦しかった。
涙が、愛が、溢れて、あふれて、
あいたい、あいたい、あいたいがつのる。
「ッ!リズ、リズ、リズ」
「しぇーと、さまっ?!」
会えました、会えました。言うのですアマリリス。
「大好きですっ!」
「り、ず」
「大好きです!シェート様っ」
「本当に?リズ」
「はっはい」
シェート様はわたしのこと...
「ありがとう、リズ。でも俺は」
やだ、聞きたくないですっ。せっかく気付けたのに、蓋をしたく、ないです。
21時に最終話を投稿します。