10. 寂しい?
婚約破棄したいという事がシェート様にバレてから、早1 週間が経ちました。
...さびしい。さびしいです。いつもでしたらもう2 回は会っているのですが...
いやっ、なにをいってるんですか!わたしはっ!自分から婚約破棄したいと言ったのです。
さびしいだなんて、そんなこと言う資格がありません。会わないなんて、むしろ本望です!
だからさびしいなんて想いは、蓋をするのです。無かったことに、想わなかったことにっ。
「ねぇ、アマリリス様。それって」
「?」
「はぁ、本当に鈍感すぎますわ!どうして想いに蓋をするのです?答えは出ているではなくって?」
「答、え、」
何かが、崩れていくような音がしました。
「ええ、そうですわ!もともと、貴女は皇太子と釣り合わないとか思っていらしたけど、貴女は侯爵令嬢。高位貴族ですわ。十分殿下と釣り合っていますわね。それに貴女、年齢でそれを感じているのかもしれませんけど皇族や王族の結婚相手なんて若ければ若いほどいいですわ」
がらがら、がらっ
「でも、限度が、限度が、ありますよね?」
「あら、たかが12 歳差でなにをおっしゃっているの?世の中には30 歳差で結ばれた仲睦まじい夫婦がいるのよ?」
がらがらがら
不安に思うことをありえないほど呆気なく、崩されていきます。
「でも、愛のない結婚はシェート様がっ」
「愛ならあるじゃない」
「へ?」
「貴女の胸に問いなさい。どうしてさびしいの?どうして婚約破棄のことを考えると胸が痛むの?貴女は、貴女自身は婚約破棄を望んでいるの?」
わたし、自身?
「周りの言葉なんて気にしては駄目よ。これは貴女の物語ですもの。貴女と殿下以外は皆等しく脇役ですわ。」
「それは、どういう..」
「さあ?私から言えるのはここまでですわ」
「...」
「絶対によく考えることよ。貴女の想いが一つになったら、殿下のもとにいくの。そして、ぶつけなさい!」
「..考えて、みます」
「ええ!そうして頂戴」