第五話 初依頼なのです!
今日は、冒険者としての初依頼で、少し遠くの森に、足を震わせて立っています。……立ってはいないですね。空中に浮いていますね。
…………ワイバーンに怯えながら。
「おはようございます」
「あぁ、ルリか、ちょっと来い」
冒険者ギルドに入ると、すぐにギルマスに呼び止められました。
「お前に、ワイバーン討伐を頼みたい」
……ワイバーンですか。知能がないので話せませんが、戦闘能力は十分じゃないですか。
初依頼がそれですか。
今日は、Aランク冒険者として少し高ランクの依頼を受けるより、新人冒険者としてゴブリン討伐に行こうと思ったのですが。
「その依頼、あのSランクの冒険者さんにお願いすることはできないのですか?」
「あぁ、あいつは今、他の高ランク依頼を受けててな。数日は帰ってこないんだよ」
「そうなんですか。…………分かりました。その依頼、受けさせてもらいます。報酬は弾んでくださいね?私、明日の宿にすら困る身でして」
「そ、そうなのか。お前も大変なんだな。…………もちろん、相応の報酬は払わせてもらうぞ」
「ありがとうございます。それなら文句はありません。ワイバーン討伐、頑張りますね」
「おう、気を付けてな」
ということで、今から初依頼ですね、と、森まで来たのですが…………。
「なぜですかっ!なんで、森に入ったばかりのところにもう、ワイバーンがいるんですかっ!!」
わ〜森ですっ!!久しぶりに見ましたっ。でも、クルハに来たときにありましたね……。
…………なんて思ってはいましたよっ!浮かれてましたよっ!でも、いきなり森と同化したワイバーンが出てきたら、ビビるじゃないですかっ!!どうしろとっ!?
まぁ、初めの攻撃がブレスだったので、丸焼きにして、食べようとしていたのでしょう。そんな相手に容赦はしません!正当防衛です!
「エアカッター!!大量にっ、首めがけて、いけぇ!なのですっ!」
首にめがけてエアカッターを大量に放ちますが、全部避けられてしまいました。どうすれば……。
「あぁ、ブーメラン。エアカッター、戻ってこーい」
……戻ってきました。あまり知能のないワイバーン、撃沈。
よし、依頼達成ですね。
あのSランク冒険者さんは今、クルハにいないようなので、私が高ランク依頼を受けなければなりません。急いで帰りますか。
「…………ん?」
一瞬、見たくないものが見えた気がしました。何か、今まで見ていたようなものがたくさん……。
「ぎゃぁぁぁぁ!!!…………な、なんなのです!?わ、ワイバーンの……群れなのですかっ!?」
大変なのです!
依頼ではなくても、これは倒すべきではないでしょうかっ!?
まぁ、私めがけて飛んできているので、仕方ないのですが。
「うぅぅぅ!!エアカッター、ブーメランみたいなの!大量にっ!!首めがけて、いけ!なのですっ!」
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