メゼリーニがやってきた。――
メゼリーニがやってきた。
「わしはただ、ちょっと小金を稼いだだけなのに、あんたに殺されました。それほどのことをしましたかね?」
「あんたのせいでコンツェッタ・サリエリが死んだ」
元門番の老人がくっくと笑った。
「わしはただ、あのふたりの警官にいい頃合いを教えただけですよ。それにサリエリ嬢については本物の孫のように可愛がったつもりですよ。でも、五万レラの報酬を断れるものがいますか? あなたを除いて」
「失せろ」
「わしを亡霊だと思ってますな? わしはあんたの心のなかに巣食った後悔の念ですよ」
そう言うメゼリーニの後ろには連邦の地図が貼ってあり、その境界や川、海峡が不気味に光りだした。
「こんなふうに思ったことはないですか? もし、サント・ヴェッキオがコンツェッタ・サリエリに電話した直後に殺されていたら、と。そうしたら、サリエリ嬢があなたに電話をしなくても、サント・ヴェッキオとは会えなかったわけです。ところが、それなのに、あなたはサリエリ嬢のせいでサント・ヴェッキオを取り逃がしたと責める。そして、あとは、まあ、あなたが一番よくお分かりだ。後ろからバン!ですよ」
「消えろ!」
「サント・ヴェッキオが既に死んでいたのなら、あなたは無意味な叱責でサリエリ嬢を死に追いやったわけです。わしとあなた、どちらのほうが罪が重いでしょう?」
そこで目が覚めた。
執務室の軍用簡易ベッドの上で、安物のナイトテーブルの上に置かれたガラスの水差しが見えた。静かな水面は微動だにせず、その向こうには歪んだ朧火が見える。まだ劇場で作業をしている職人がいるのだ。
汗はかかない、渇いた悪夢だった。
いつも出てくる亡霊はメゼリーニだった。思い出すのは、割れた卵と牛乳。流れ出す血。灰色の口髭に引っかかった喘鳴。
メゼリーニを殺したことを後悔したことはないが、夢のなかでの通り、もし、サント・ヴェッキオが死んだのが電話の直後だったらと思うと、全身を体の内側からつねられたような、今すぐ死にたくなる感覚に襲われる。
まだ夜は明けていない。だが、眠れる気がしない。
カラヴァッジョ大佐は立ち上がった。仕事に逃げるのだ。デスクに座り、読むべき報告書をひとつ取り、逮捕すべき男たちの名に目を滑らせた。