進級 2年生
2年生になった。
クラス替えで葉子とも逸生とも違うクラスになった。
葉子は慶と続いている。私と逸生を巻き込んでよく遊ぶ。
楽しい事だけに一生懸命でフワフワしているだけの慶と、控えめながらも逸生がしっかりサポートするような仕組みが出来上がりつつ有り、4人で遊ぶのは楽しかった。
夏休みが近付いていた。
葉子も私も不自然なくらいお祭りの話題を避けていた。私への気遣いもあるだろうが、葉子も平気で夏祭りを楽しむには、まだ別れは生々しい記憶に違いない。
その代わりに、逸生の家に4人で泊まる話が出ていた。
逸生の家族が墓参りがてら旅行に行く間、部活を理由に逸生は留守番をするらしい。
「部活なんて入ってた?」
「俺は1年からずっと生物部だ」
「生物部なんてあったっけ?あったとしても活動してないよね?いっくんが部活に行くなんて見たことないもん」
「確かに!幽霊部の幽霊部員だね」
「どっちでもいいだろ、そんなの!」
笑いの種にされて少し機嫌を損ねたらしい。
「逸生が部活に入ってくれてたお陰でみんなでお泊り出来るんだからな!ありがたや、ありがたや!」
みんなで手を合わせて逸生を拝んだ。
「やめろよ!」
嫌がる逸生を慶はからかって嬉しそうにしている。
彼氏が居なくても、今年の夏は退屈しなくて済みそうだ。