出逢い
高1の夏休み。
彼氏と待ち合わせたファミレスで葉子と遭遇した。
付き合いたての彼は他校の1つ年上で、葉子は彼の親友の彼女だった。
私が店に着いた時、もう3人は先に来ていて
「同じ学校だよね?」
葉子が私を見るなり聞いてきた。 こんがり焼けた肌にスラリと伸びた手足が夏に似合っていた。大きな口で笑う夏の花のような笑顔が印象的だ。
クラスは違ったけど、存在は私も知っていた。私のクラスの友達と話したり、一緒に帰ってるのを見たことがあった。
放課後に教室で友達と話していたら葉子が入って来て、私の友達と何やら話し始めた。同じ中学校出身らしかった。友達と話し終わり教室を出て行きがてら
「飴食べる?」
私に飴を手渡して出ていった。
「前に飴くれたよね?」
「え、私?そうだっけ?」
葉子は全然憶えてなかった。私は話した事もない子から飴を貰ったのは初めてだったが、彼女には普通の事だったのかもしれない。
いつもの私なら絶対に初対面の人から食べ物を貰ったりしない。この時も私は断ろうとして遮るように手を出した。葉子は断る隙も与えず、当然とばかりに私の手に飴を握らせて去って行ったのだ。
人見知りなせいか、他人とは共通点を見つけながら少しずつ親しくなっていく。何回も何日も掛けて1歩ずつゆっくりとだ。そうやって私の内側へと入り込んできて馴染んでいく。
それなのに葉子は最初から私の真ん中にいた。特に共通点があるように感じなかったが、気づいたら当たり前のように中心に居て、入ってきた事にも気付かなかったくらいだ。
もしかしたら、あの日飴を貰った時から私は葉子を無意識の内に受け入れていたのかもしれない。話しても話しても話し足りなくて楽しくて、彼氏達を呆れさせた。