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アルヴィンが出て行ったのと入れ替わるように、マリアが入ってきた。


「フィオナ様、本当に心配しました・・・・痛いところはありませんか?」

「マリア・・・心配かけてごめんね。今はなんともないわ。ところで先生はなんて言ってた?」

「はい、母子ともに大丈夫だそうです」

その言葉に、ホッと息を吐いた。

「ただ、予定日までは行動制限が入ります。これまでみたいに身体を動かす事はできませんから」

「え?そうなの?」

「もう、当然です!下手すれば早産だったんですよ?ただでさえお腹が小さいのに」

「わかったわかった。・・・・―――・・・・それよりも、さっき告白されたのよ。陛下に」

「あぁ、やっとですか」

マリアにあっさりと返され、フィオナは目を見開く。

「知って、たの?」

「恐らくフィオナ様以外は、みんな知ってましたよ。ものすごくわかりやすかったですから」

「え?ほんと?」

「初めての顔合わせの時からですよね?」

「そう言われた・・・・」

「もう、あからさまに目の色変わってましたし。ただ、正直なところ女嫌いだとか離縁だとか言ってたのが、コロッといっちゃったじゃないですか。どうせまたフィオナ様の顔だけに惹かれただけだろうと思ってたんですよ」

これまでもそうだった。好きだのなんだのと言ってくる男達は、ただ単にフィオナの顔に惹かれただけ。

綺麗だから、お淑やかで優しい女性だなんて勝手な妄想を抱いて。

「でも、陛下は違ったんですよね。確かに最初はフィオナ様の顔だったかもしれないけど、顔合わせの時の言動や慈悲も何もない初夜だとか、全然めげてないんですよね」

マリアのあまりに直球の言葉に「うっ」となりつつも「確かに・・・」と思う。

正直、普通であればあの初夜の時点で破局していてもおかしくない。

人によっては激高して、暴力で屈服させられ強姦されてもおかしくなかったのだ。

まぁ、恐らくそこら辺の貴族の男には負けないだけの腕に自信はあるから、それに関しては心配していないが。

なにせ、異性に悩まされていたのは何もアルヴィンだけではないのだ。

幼い頃から色んな武術を叩き込まれ自衛してきたフィオナは、アルヴィン程異性に対して嫌悪感は抱いていない。

単に男を信用していない事と、フィオナを受け入れてくれるだけの度量を持つ男がいないのだと、諦めていたから。


「それを踏まえると、陛下はフィオナ様にピッタリだと思うんですよ」

「でも、私はそんな風に見た事ないのよね。陛下の事」

「なら、これから見ればいいじゃないですか。お子様が生まれ、本当に一人で出ていけます?悲しくないですか?」

「うっ・・・それは・・・」

「別に離縁しなくても、一緒に住めばいいんじゃないですか?家族として」

「家族?」

「そうです。まだ異性として陛下の事を見られなくてもいいじゃないですか。きっと陛下はこれから積極的にフィオナ様の事を口説いてくると思いますよ。既に結婚もして子供もいるけれど、取り敢えず子供を挟んだ友人というか・・・そんな気持ちから始めてもいいんじゃないですかね」

なるほど・・・・と、考えてもみなかった事だったので、そんな考え方もあるんだと感心した。

「政略結婚なのですから、始めから愛情なんて無いのが普通。これからお互い歩み寄ればいいんですよ」

「そっか・・・・」と妙に納得する。


妊娠する前と今とでは、やはり感じる事が違ってきている。

特によく考えてしまうのが、子供と離れられるのか、だ。

それに関しては、余り深く考えないようにしていた。今考えてしまえば、悲しくて何でこうなってしまったのか、陛下を恨んでしまいそうで、自分が馬鹿みたいだと思ってしまうから。


必ず離縁して、子供を手放さないといけないと思っていたわ・・・・

「マリア、すごいわ!取り敢えずは、お知り合い枠での同居でいいかしらね?」

「お知り合い!?せめて友達とか・・・・まぁ、いいと思いますよ。政略でも一応は夫婦って事は忘れないでくださいよ」

大丈夫か?という目でマリアが見つめる。

「だって、夫としてはどうしても見られないんだもの」

「お知り合いでも友人でも、元々同じ建物で部屋が隣同士。今までと何か違います?」

「気持ちが違うのよ!」

「・・・・・そうですか・・・」

「これまでだって、子供のこと以外での交流もなかったのよ?」

「はぁ・・・そうですね。嫌いな人から友人へと大昇格。きっと陛下は大喜びですよ。まぁ、全ては無事出産を終えてからです!」

「そうね・・・・」

何もわかっていないフィオナに、マリアは諦めたように溜息を吐いた。


当のフィオナはというと、少し気持ちが楽になった気がして、ホッと息を吐いた。


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