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プロローグ3

次でプロローグは終わります。つまりTSします。





「助かったよあんちゃん!!助けてくれてほんっとにありがとうな!!俺あんちゃんが居なかったらあの化け物に殺されてたぜ……!死んだかと思った……俺大丈夫だよな?生きてるよな?」


「え、えぇ。はい。僕が勘違いしてて、実は二人ともやられて天国に来た。とかじゃない限り、大丈夫です」


「お、おう……あんま怖いことは言わんといてくれやあんちゃん…」



あの後僕はこの男性、「チャノレンジ」さんを外に出して介抱していた。

どうやらなにか怪我をした訳でもなく、窒息で意識が朦朧としていたようで、僕にあの化け物から引っ張り上げられてから少し経てば回復したらしい。そういうもんなのかな?少し不思議だ。


……そういえば不思議といえば、だけど


「チャノさんはあのドロドロした化け物は見たの初めてですか?」


「ん?そら……初めてに決まってんだろ。あんなのが生息してるなんて知ってたら洞窟なんざ入らなかったよ……ていうかあんちゃんよ、そーゆう訊き方をするって事はあんちゃんは見た事あったのか?」


「いえ全然」


「ねーのかよ!」


おぉー、この人ツッコミがキレッキレだ。相当ツッコミの練習したのかな。


なんか……良いな。こういうの。

旅をしている時は基本的に一人だったし、旅の目標はあったけど明確な目的地があった訳でもないから、一時的にでも一緒に旅する人なんていなくて……あぁ、人って素晴らしいよ。


……ん?あれ?

ちょっと違和感を覚えて、僕は辺りを見渡す。隠し洞窟から少し離れたここ。一帯が緑に包まれたここらの山中で、偶然にも木が無くちょうど野宿しやすそうなスペースがあったので、ここでチャノさんを介抱していたんだけど、その緑が段々と茜色に染まって来ていた。

もうそんなに時間が経ってたんだ……気付かなかった。


「あー……もうそろそろ日が暮れちまうな。あんちゃんあんちゃん。今日はここで野営としねえか?二人でよ。せっかくこんな巡り合わせしたんだし、もっと語ろうぜ」


チャノさんは僕の心を読んだのかと聞きたくなるくらい完璧に僕の要望と一致する提案をしてくれた。普段人と関わらない僕がせっかく人と喋れるのに、このまま別れるというのは少し勿体ないと思ってたんだ。

これは僕の答えなんて一択に決まってますよ!


「良いですね良いですね!今晩は語り明かしましょう!」


「お、おう!語り明かしはしねえけどな?……そういえば聞いてなかったけど、あんちゃん名前は?」


「……そういえば僕ずっと名乗ってませんでしたね。僕の名前は───」


「おん、名前は……?」




「カシエル、です。気軽にエルと呼んでください」









「はーなるほど。エルは伝説の魔術師?っていう魔術師みたいになるのが夢なのか」


「はい!凄いんですよ伝説の魔術師は。魔術一つで流星群を降らせれたりできちゃうんです!さらに彼の恐ろしい所は、なんといってもその保有する魔力量!彼が魔力を魔術に通さず手から無造作に放ったなら、それだけで破壊光線が発射できるほどの魔力を持っているんです!普通の魔術師ならいい所で魔力の水鉄砲が撃てるくらいですよ!それで打ち止めです。でも伝説の魔術師はもう破壊光線をバンバン撃っちゃうんです!」


本当に凄い人だよね……伝説の魔術師。

小さい頃、僕が村でこの御話を初めて知った時は本当に痺れたものだ。伝説の中で彼は幾つもの武勇伝を立てていた。生まれてから10年経てば、彼は『魔術師』どころか『魔導師』顔負けの魔術を使えた。他にも、『サフィラ』という街を襲ったとても邪悪で強大な邪龍『ファフニール』を、彼は街一つ覆うほどの巨大かつ堅固な結界を貼り守護した、なんて伝説もある。まあこれだけじゃなくて、この世界を見渡すため、地から天を貫く巨大な塔を作り上げたなんて話もあったりするのだけど……キリがないから止めておく。とにかく本当に凄い人なんだ。


「お、おぉ。急に勢い良くなったな。まあでもそりゃすげぇな。で、エルはそれを目指してると」


「…はい」


本当に、伝説の魔術師は僕の憧れであり夢だ。でも……


「でも……正直、夢が大きすぎるとは感じてるんです。彼と比べて僕は……12歳になるまで魔術を知りもしなかったし、魔力量は平均値より少し少ないくらいです。この歳(16)になるまで魔術の勉強を頑張ったけど、発動した魔術は全て失敗ばっかりで……」


このままじゃ一生伝説の魔術師のようにはなれないと思って、魔術師界の神秘であり僕の希望でもある『アーティファクト』探しの旅に出てみたけど……結果は出ない。


「無理なんですかね……僕には」


流石に弱音も出ちゃうよ。


そう少し落ち込んでいたら、チャノさんは僕の頭に手をポンと置いて撫でた。


そして語った。


「あんちゃん。俺にはその伝説の魔術師?って人をよく知らないんだけどよ、あんちゃんが話す内容を聞く限り歴史に刻まれる英雄のような人なんだと思うんだが、その人とあんちゃんを比べる限り……



うん。無理だな!」


「……えっ!?そんなはっきり!?」



流石に動揺を隠しきれないよ!?そ、そんな追い討ちをかける言葉をはっきり言われるとは……



「わはははっ!いやーすまんな。でも慰めも励ましも違うと思ってな」


「違うって一体……」


「あんちゃんはさ、その伝説の魔術師って人の何に憧れて夢を抱いたんだ?」


な、何にってそれは……色々だ。

その圧倒的な力とか頭脳明晰な所とか、かっこいい所とかお、女の子にモテたりとか…………あと


「……困っている人をみんな助けてしまう所、です」


伝説の魔術師はすごい。強くて頭も良くてカッコよくて女の子にモテまくりだ。


でも僕が一番彼に憧れている所を挙げろと言われたら……やっぱりその困っている人をすぐに助けてしまうところだろう。

僕は……彼のその、英雄のような所に憧れたんだ。


「そりゃ良いね。めっちゃかっこいいじゃねえか」


「そうなんですよ!伝説の魔術師は凄いんです!どんな災厄にも彼は引かず、数多の人を助けてしまう。それに比べて僕は……人を助けれたことなんて……」


「あんちゃんあんちゃん。なんか忘れてねえか?」


……え?忘れてること?


「俺は、ついさっき……






あんちゃんに命を助けて貰ったぜ?」




…………!




「あんちゃんが人を助けれないなんて、そんな事はないぜ。俺はあんちゃんに命を助けて貰ったんだ」


「チャノさん……」


「確かに、あんちゃんはその伝説の魔術師とやらみたいにはなれねえかもしれねぇ。でもあんちゃんはあんちゃんが憧れた『みんなを助ける魔術師』にはなれるんじゃあないか?」



その言葉を聞いた途端、僕は……全身が震える思いだった。


『みんなを助ける魔術師』


この言葉は僕の心にストンと落ちた。心に刻まれたと言ってもいい。

だってこの言葉は、僕が伝説の魔術師になりたいと思った理由の起源そのものをあらわす言葉だと思ったから。


「弱くても、あんちゃんは人を助けれるんだ!自信を持ってくれ!」


チャノさん……!!



「チャノさん、ありがとうございます。僕の夢がなんだかハッキリと決まった気がします。僕は!!


───『みんなを助ける魔術師』になりたい!」


見てくれてありがとうございます!


誤字脱字等あれば是非教えて頂けると有難いです。あと評価と感想も良かったら是非。作者が喜びます。


あと、あらすじになんか増えました。

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