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書きたかった1

 私は朱宮天蓋あけみやてんがい。よく男と間違われる名前だが、女だ。そして、探偵を生業としている、ごく普通の二十代だ。


 今から語る事件は、私にとって一番デカい事件だ。是非、ゆっくり聞いてくれ。


 あの日は雨だった。もう七月というのに、まるて梅雨の真っ只中と言わんばかりに土砂降りだった。


 私は雨が嫌いだ。理由として最も大きいのは『濡れるから』だ。


 ただ濡れるだけならまだいいが、服を着ている際に濡れると肌に引っ付くんだ。アレが死ぬほど嫌いでね……。おっと、話が逸れたな。


 さて、そんなふうに憂鬱な気分だった私のもとに、一人の少女がやってきた。


 金髪でロールされている髪、淑やかな立ち振舞い、高価に見える装飾品の数々……そう、彼女は貴族だった。


わたくし、ローズ・ブラックライと申しますわ。本日はかの探偵、


独りで事件を即解決!


諦めが良いが腕は確か!


迷宮だらけの名探偵!


でお馴染みの朱宮様にご依頼があつて来ましたの」


「確かに私はすぐ諦めるが、そんなふうに言われていたのか……。というか、迷宮だらけなのに名探偵なんだな」


「ええ。これは朱宮様に人徳があるからなのかもしれませんね」


「人徳の塊だもんな。それで、依頼の内容は?」


「そうでしたわ。実は昨晩、


今世界で一番の怪盗!


見た目も声も全てが可愛い!


アルセーヌ・ルパンにも引けを取らない実力者!


と噂されている大怪盗ネモフィラから私の家に予告状が届きましたの」


「ふむ、この探偵社会でよくまだ怪盗なんかしてるな。それで、何を盗むと予告してきたのだ?」


「オレンジダイヤモンド……《オレンジ・ガーベラ》ですわ」


「オレンジダイヤモンドだと!?待て、流石に嘘だよな?」


 オレンジダイヤモンド……希少なカラーダイヤモンドの1つ。高品質のものとなれば同じグレードのイエローダイヤモンドの十倍もの価値がある。


「嘘ではありませんわ。しかも、2013年に競売にかけられ、3554万ドルで落札されたあの《ザ・オレンジ》と同等の品質ですわ」


「おいおい、絶対依頼相手間違えてるぜ?あのザ・オレンジと同等の品質ってことは1カラット当たりが240万ドルぐらいなんだろ?」


 「あら、よくご存知で」


「私は絶対引き受けないぞ。引き受けたら胃痛に苦しめられそうだからな」


「傲慢な方と思っていましたが、意外と普通なんですのね」


「普通で悪かったな」


「微塵も思ってなさそうですわ」


 やれやれ、と首を振り指を鳴らすローズ・ブラックライ。嫌な予感しかしないのだが。


「先に報酬を払っておくと言ったら、引き受けてくださいます?もちろん、盗まれても回収は致しませんわ」


 なんか屈強な男がスーツケースもってきたんだが


「そんなのに乗るわけがないだろ」


 ローズ・ブラックライがそのスーツケースを開く。


「報酬は1億ほどですわ」


「よし引き受けようではないか」


 大人は金に汚いのであった。



――――――――――――――――――――――

これがこの事件の始まりだった。今なら言える。


「もっと報酬の値段高くしてもらえばよかった」と。

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