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喰らうもの

…………………あぁ?………………………


何だこの空間………夢か?

地面がない、辺り一面真っ暗で何も見えない


意識を保てる夢のことを明晰夢というが、この現象が起きるときは極度にストレスがたまっているときだそうだ。


「最近変な夢ばっか見るな」


いや、でもあれは夢じゃなかった。確かに死んだはずだが俺は生きている。考えないように眠りについたはずなのに夢の中でも考えてしまうなんて


「全く寝た意味がないな」


そんなことを考えていると目線の先に微かな光が灯された。それはどこからか光が差しているわけではなく、まるで子供の頃よくやった虫眼鏡で焦点光を集め発火させる時みたいな微かな、それでいて白熱の点だ。


その点は次第に広がりを見せ何かがぼんやりと写し出される。


「おまえ、俺が先ほど殺したはずなのになぜ生きている。答えろ人間」


なんだ?

なんの映像だこれは………どこかで見覚えがあるような壁だ………それにこのホール………




間違えない



あの"ホール"だ


ということは…………

天井を見上げるとそこには奴がいた。大口を開きそこから脱力したように8つの腕を垂らし、その声はどうやら大口の中から俺に対して問いかけているようだ。


ということはこれは"俺"か?


どうやらこの映像はあのホールにいる俺の視点から見える景色を写し出しているようだ。ふと自分の腕が映る。よく見るとどうやら赤い靄がかかっているようだ。


「俺の問いに答えろ人間……………貴様、死にたいのか」









「慎め戯けが、我は今頗る機嫌が悪い。逆に問おう…………死にたいのか貴様」








俺の発言が気に食わなかったようで垂れていた8本の腕が猛スピードで此方へ向かってくる。というかこれは本当に俺なのか………


「鈍間が」


その瞬間、一瞬にして視界の先に大口の中の漆黒が映る。なにやら後ろでドスンドスンと大質量の物体が地面に叩きつけられる音がした


「己ぇぇぇぇ!!この俺の腕をよく………ッグ!!」


これは何だ……………………鎖か?無限に続くと思われる漆黒に鎖が突き刺さる。それは俺の両腕から伸ばされるもので声の主を闇の中から引き吊り出そうとする。鼓膜がはち切れんばかりに闇の主の呻き声がホール内にこだまする。



「ぐぉぇぁぁぁぁぁぁぁぁいぎゃぁぁぁ…………………………………我は………神だぞ!!!」




何かが上から叩き落とされ、地面が陥没した。


そのとき俺の目に写ったのは、まごうことなき異形としか言いようがない容態の化け物。


首から下がなく頭部には綺麗に整った歯が顔の輪郭を縁取っている。そしてその口内には二重、三重、四重と何層にもなって口が続いている。マトリョウシカのようだ。






奴の纏う黒が闇を増しドス黒くなる







「覚悟しろこれより暴食をはじめる」






その異形は今まで開いていた口をさらにかっぴらげ、もはや角度は180°を超す。奥から次々と何重層にもなる口を開き次の口を外へ押し出すように俺へと迫る。


それを俺は回避せず、前方に腕をかざした。


「どこまで延びるのか試してやろう」


その声と同時に奴の進撃がピタリと止まる。小刻みに震え何か喋っている


「なぜぇ…そぇ…どまでのち……力を………にん……げん…ごときぃ…が……………」




「黙れ神ごときが、汝に発言を許した覚えはない」










ゴリュッ









そんな酷い音と共に奴の口が縦に裂けていた。


腕は脱力しきって地面に叩きつけられ、口が360°開ききっており、後頭部で上顎と下顎がくっついている。そして臓器でも吹き出さんばかりに奴の口が次から次えと伸びて伸びて…………最後の口が "ゴンッ" と音を立てて床に伏した。どうやらマトリョウシカノも無限ではなかったようだ。






「暴食………か」

生命を感じさせない無機質な骸を見てそんなことを呟くと、徐に神の死骸に手を伸ばし……………………





















暴食の神を喰らい始めたのだ

暴食の神のビジュアルはフルフルの頭部の中にフルフルがいてその中にもフルフルが…………フルフルがいて………フルがいて………フルフルって感じです。

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