1 邂逅
毎日投稿です。物語のシナリオ的に長編作品にする予定です。700話ぐらい書きたいですね。シャンフロなんてもう800………
「くそぉぉぉ!!!」
「俺がなにしたっていうんだ!!!」
「こんなわけわかんねぇとこでぇ……」
「嫌…………………………………………」
「嫌だぁ!!!!!!!!!!!生きる!!!!!生きて生きて!!!」
「何としてでもここから…………………………………生きてぇ………」
この日俺は死んだ
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……………………………
………………
……
今日の日本は世界一安全な国として世界中から注目を浴びている。世界中を襲ったあの大災害もとい「Sゲート」の同時発生から約四年。唯一都市の破壊がされなかった3ヶ国として日本は第三次産業革命を経て先進国の準トップの座に君臨した。
トップを独走するアメリカは唯一Sゲートが二つ確認されたにもかかわらず、ゲートブレイクは起きず、他国に援軍を送ったほどだ
今から66年前、中国で世界で初めてのゲートが観測された。それから世界各地でゲートの発現が観測され、後にゲートブレイクが起こり世界中が戦場へと化した。
日本は当時の日本の最高軍事力であった「歩兵式人形兵器R-0式」などの陸上兵器や対国兵器として作られた原子力に変わる動力として超新星爆破の原理を利用した飛行式空爆兵器「MEME」などを導入し、一時的な地球外生命体の排除に成功した。
そしてゲートの第2波に備え各国の政府による話し合いの末、ハンターが誕生した。そして幸運なことに地球外生命体の死骸から地球外物質を検出し、後にそれが対魔武器のもととなったのだ。
そして地球外生命体を『悪魔』と位置付けたのである。
「本日午後9時頃、中堂市にBゲートの出現が確認されました。なおハンター統括本部と舞仁ギルドによる連合隊が組まれるとされています。万一の場合は市放送にしたがって行動してください。引き続きゲート発生がありましたらこちら国営局までご連絡お願い致します。」
「またBゲートか、今月四回目だぞ。」
俺は身支度もそこそこに現場へ急ぐ。
え?なんだって?Bゲートに行くのかって?まさかそんなわけ、そんなんじゃ命がいくつあっても足りないね。もちろん行くのはEゲートだ。
年齢21歳、綾小路傑。ハンター歴3年のE級ハンター。今朝ハンター統括支部より一件のゲート情報が送られてきた。
月収は約30万ほどでそこらのアルバイトよりは儲かっている自信はある。
何せハンターはそこらのバイトと違い、常に死と隣り合わせの職業なのだ。だから誰もこの職業を好き好んでやるものはいない。いたとしてもそれはよっぽどの自信家かただのバカかのどちろかだろう。
そろそろか
「今日の召集場所はレバル正教会か…………」
四、五年前に突如たてられた教会。よくイギリスにあるような教会だ。見た目はもはや城みたいな感じで周辺宅のイメージとあまりかち合っていない気がするし、実際ここに通う人を一度もみたことがないのでここの神はあまり信仰されていないようだ。
集合時間になりざっと15人ほど集まったようだ。みた限りD級と思わしきハンターがちらほらいるので問題ないだろう。
ゲート同様ハンターにも等級が存在する。上からSABCDEの順になっておりゲートと同等級のハンター等級のみで編成された隊の場合少々不安だかそこに等級が上のハンター、今回でいえばD級ハンターが数人いればまず問題はないだろう。
「皆さんきいてくださーい!僕は海道学といいます。舞仁ギルドの第四部隊の副隊長をやっています!長らくハンターをやってきてこのレベルのゲートなら何回も経験しているので今回は僕が指揮を執りますね。僕らD級ハンターがいれば問題はないと思いますが慎重に行きましょう!」
応!と隊員が声をあげ、海道の指揮のもとダンジョンへと足を踏み入れた。
ダンジョンはゲートによって地球と繋がっており一定期間の間にダンジョン内の悪魔を殲滅できなかった場合、ゲートブレイクを起こし世界は66年前のような混沌と化すだろう。
「傑さーん!!!」
「あ、井上さん、こんばんは」
井上真澄、彼女は僕がハンターを始めた頃に出会った同期だ。年も近くて遠慮なく話せるような人は彼女しかいないので正直すごく助かっている。
「いやー少々準備に手間取ってしまいましてギリギリでしたね」
「そうですか、中は危険なので気を引き締めていきましょう」
「はい! そうですね!」
そうして俺たちを最後にゲートは閉じられた。
そう"閉じられた"のだ。
本来クリアするまでは閉じられるはずがないゲートが
俺の運命が大きく動きだした
「ふぅ~、何とか一段落ついたな。道中はゴブリンやら樹万寿やら、劣種の雑魚ばっかだったなw」
「智也、油断するな。ボスが残っている、そんなだと痛い目みるぞ」
「学ぅ、固いこというなよぉお前舞仁4番隊のエースと言われるこの俺がEゲートごときで負けるとか思ってんのかw」
「いつ如何なる時も油断は禁物だ。これがEゲートだからってそれは関係ない」
そう、学は舞仁ギルドの第四部隊の副隊長としてE、Dゲートを数多くこなしてきた。その上でダンジョンでの油断は命取りになることを"身をもって"経験してきたのだ。智也は昔の自分そっくりだ。だから俺が背中で示していかなければならない。
「皆さん!ここから先はボス戦になります。この扉の向こうにはボスがいますが僕たちが全線に出て敵を誘導します。その隙に弓や魔法系の方たちは後衛にディフェンダーやライダー、剣士などの前衛の方々は私についてきてください」
俺は剣士だ。だが大剣ではなく片手剣を使っている。攻撃力こそ落ちるものの防御と俊敏さが他の前衛と比べて比較的高い。
俺はそんなにタフな体格をしているわけでもないので重い一撃は致命的なのだ。だから片手剣の盾は俺にとって必須防具だ。ちなみに彼女は魔法職だ。人それぞれ適正があり魔力に対する抵抗が高い方が魔法士に向いているのだ。
いざボス戦へ俺たちは扉を開く
ボスの部屋は広い円形のホールのようだ。
だが…………………
「あぁ?なんだぁ?ボスいねぇじゃんwここまで来たのにまさか俺たちを見てちびったか?」
「確かに妙だ、皆さん!一塊になってください!非常事態には必ず複数人で対し……………………………ぉ?」
そのとき
何かがそこにはいた
いるはずのない何かが
右…………左……………………いや、
上だった
それは口だ
そう、天井から大口を開けていた。天井一面に口を広げその回りには人間のような形の、それでいて人間と比べるとその大きすぎる歯がびっしりと敷き詰められていた。そしてその先には光すら届かないような闇が喉奥へと続いていた。しかしその闇からは腕が延びていた。そう、本来口から延びるはずのない腕が口の中から延びていた。さながら脱皮途中の生き物のように。そしてその腕から放たれた槍が学の胴を貫いていた。
あまりに急すぎる展開に誰一人として、貫かれた学でさえ自分が何をされたのかを理解しきれていない様子だった。
何秒が過ぎた?
十秒?
いや、何時間?
それとももう日を跨ぐほど経過したか?
時の流れを忘れてしまうほどの静寂
そして恐怖
「死」の感覚がようやく追い付いたのか学が叫ぶ、いや声亡き声が身体中から暴れ出る。
周りの奴らは腰が抜け、一人の男が頭から床に崩れ気絶した。俺はその場から一歩たりとも動くことなく眼球すら微動だにせず、初めて「死」を感じた。
「はぁ…………………はぁ…………………」
呼吸が激しくなる
唾を飲むことすら許されていないような
次瞬きをしたらもう死んでいるのではないかと思うほど
それほどまでに圧倒的な存在であることを体が先に感じ取ってしまった
そんな中、学に智也と呼ばれていた男が果敢にも伸ばされた腕に向かって動いた。
否、動いてしまった
「退け」
声は重く響く
学ぅぅぅ!!速攻で死んだぞ!?