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その4:オックスフォード行きの列車
パッパラ、パッパラ。パッパラ、パッパラ。
パッパラ、パッパラ。パッパラ、パッパラ。――
何処かで、誰かが、何かを、歌おうとしている。
オックスフォード行きの列車が動き始めるのと同時に、彼女は、妙な違和感を抱き始めていた。忘れ物でもしたのだろうか?食材の発注ミスでもしたのだろうか?彼女がそんなことを想っていると、そこに小さな女の子たち――姉妹だろうか?一人、二人……七人の小さな女の子たちが、彼女の横を駆け抜けて行く。
パッパラ、パッパラ。パッパラ、パッパラ。
パッパラ、パッパラ。パッパラ、パッパラ。――
隣の車輛に向かう途中で、姉妹の一人がこちらを振り返り彼女と目が合った。アイスか何かだろうか?口のまわりが薄い紫色で汚れていた。