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オックスフォードへ  作者: 樫山泰士
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その1:ロンドン・ヒースロー空港

 2020年7月22日水曜日。ロンドン・ヒースロー空港。13時31分。トーキョー行きBA005便の搭乗ゲート前。一人の男性が倒れた。彼は、ロンドン市内の某大手広告代理店に勤める運用部門の係長だったが、この日の朝、課内ミーティングの途中、突然、真実の愛に思い至ってしまっていた。それも、床に落としたスティックシュガーのせいで。

『やはり、僕にはモリーしかいない』そう確信すると彼は、上司と同僚への急な早退のお詫びと言いわけもほどほどに、タクシーと地下鉄――タクシーは結局、渋滞で使い物にならなかったが――それにヒースローエクスプレスを乗り継いで、彼女――オリンピックの中止が決まったトーキョーを取材するべく空港へと向かう彼女――の後を追った。

 しかしながら、日ごろの運動不足のせいか、これまで積み重ねて来た悪事のせいか、それとも、父親ゆずりの弱い心臓のせいか、飛行機内へと向かう彼女の後姿に声を掛けようとした瞬間、彼の目の前を暗闇が襲った。

 彼の最後の呼び掛けは彼女にまで届いたのか?届いたとして、彼女はその呼び掛けに応えるのか?それとも、そもそも、これは本当に「真実の愛」なのか?そして、こんな彼と彼女の出会いと別れとは一体――等々、これは、そんな若い二人の愛の物語、ではない。

 これは、彼が倒れた数時間後に始まるもう一組のカップルの真実の愛の物語である。

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