「僕の友達は猫さん?」
「僕の友達は猫さん?」
街から転校生がやって来た 高校1年生の女の子
とても明るくて とても元気
みんなとも すぐに仲良しになった
彼女には面白い癖があって
あくびをした後 かならずクシュンって くしゃみをする
で いつの間にか「あくびくしゅん娘」って あだ名がついた
あだ名の由来は アニメの登場人物からだそうだ
彼女が田舎に引越してきた訳は 病気を患っていたから
少しでも空気のきれいな 自然がいっぱいあるところがいいと言うので
じつは この女の子 余命1年と医師の診断らしい
原因不明の重い病気
学校では とても病気とは思えないくらい いつも元気にしている
病気の事や余命1年の話とか 家族と本人しか知らない
学校にも話していないし 同級生やお友達にも言ってない
彼女は普通に みんなといっしょに生活するって言ってた
彼女の家は猫を飼っている 僕の家も猫を飼っている
同じアメショー(アメリカン ショートヘア) 偶然にも歳も同じ 3歳
違うのは 彼女の猫は女の子 僕の猫は男の子
猫を飼ってるって共通点もあり 家も近所なので 彼女とお友達になった
彼女は中学校から 部活でバスケットボールをしていた
そして うちの学校のバスケ部に入部
でも 体力が落ちてきているので あと半年くらいしか部活に出れないらしい
彼女がバスケ部に入部して バスケ部も変わり
練習試合や いろんな大会でも いい成績が出せるようになった
彼女が転校してきて半年
バスケの全国大会 うちの学校は準決勝進出!
準決勝 試合当日の朝 彼女は吐血 急きょ街の病院へ (入院らしい)
そして試合 うちの学校は彼女抜きで 何とか準決勝勝利 決勝まで残りました
でも彼女は もう試合には出れないらしい
彼女のお見舞いと 決勝進出の報告をしに
顧問の先生のワゴン車で 選手と それから応援に来ていた
同級生や先輩たちで病院へ
病院の許可をもらい 病室には10数名(かなりの迷惑感)
みんな泣いての報告会 彼女もめちゃ喜んで泣いてた
その時 彼女のいつもの癖 あくびしながら「ふぁーくしゅん!」
病室は 大爆笑になった
翌々日はバスケの決勝戦
彼女は病院の許可をもらい 試合の応援に来ていました
で試合は 奇跡が起こった
なんと うちの学校が優勝!
彼女も 選手も 応援も みんな抱き合って大泣き
その時は すごい盛り上がりでした
彼女は 試合後また病院へ
女の子の 病状が急激に悪化
医師の診断では もって あと2~3日
彼女は 自宅に帰されました
女の子は もうベッドから 起きられないくらい衰弱していました
学校には 休むとだけいってあるらしく
みんなに心配かけたくないとの 彼女の気持ちからである
ベッドの中の彼女は いつもとかわらない笑顔でニコニコしていました
彼女の 枕元には猫が寄り添い 心配そうに彼女を見つめていました
また 彼女のそばから 片時も離れようとはしませんでした
彼女は この猫を可愛いがっていて お世話もかかしませんでした
家族の誰より この猫を愛していました
彼女は そばにいるその猫に お世話できないことを小さい声で謝っていました
その猫は 聞こえているのかいないのか
その時 彼女の ほっぺを一生懸命 舐めていました
翌日 街からお医者さんが女の子の家に
女の子の意識が時々なくなるとの事で
お医者さんが言いました もって今日までの命でしょうと
家族は悲しみました 余命1年と診断されていましたが
それよりも短い 半年になってしまって
女の子は2~3日前に 自分の死について こんな事を言ってました
死ぬのは怖いよ パパやママ 猫ちゃん お友達 先生
学校のみんなとのお別れは悲しいし 寂しいよ
でも 寿命が決まっているんだもん仕方ないよ
だから私は みんなと一緒に普通に だけど一生懸命 生きたいんだって
この半年は とても楽しかった とても充実してたって
本当は 最後にみんなと お別れをしたいんけど みんなの顔を見たら
絶対 悲しさと寂しさで押しつぶされそうになって 涙が止まらなくなるから
みんなと会うのは やめようと思ったみたい
パパとママに みんなには短い間だったけど ありがとうって伝えてって
感謝してるって みんな大好きだって 伝えてと・・・
そして その日の夕方
女の子が寝ている お腹のあたりに猫が寝ていました
お母さんが 女の子が苦しいかもしれないと
猫を どけようとしたけど 女の子は このままにしといてと
お母さんに頼んでいました きっと女の子も寂しいのでしょう
猫も 絶対そこから降りようとはしませんでした
それから 数時間後 彼女の意識は もう二度と戻りませんでした・・・
本当に 眠るように息を引き取ったのでした
そして 彼女のそばにいた猫は 彼女の死が受け入れられなかったのか
2~3日熱を出し 寝込んでしまったそうです
それから 数日が経ち
僕の家に その猫が遊びに来ました
前にも 時々遊びには来てたんだけど
彼女が 亡くなってからは 初めての訪問でした
彼女の猫と僕の猫は しばらく遊んでいました
それを 僕は遠くから眺めていたんだけど
彼女の猫は そんな僕に気づき近寄って来ました
そして なんか懐かしい様な顔をして 僕を見つめていました
て言うか そんな風に見えたのだけど
そして その猫が帰ろうとした時 「ふぁー くしゅん!」
あっ!
・・・あくびの後に くしゃみ 彼女の癖だ!
僕はドキドキした
その猫に彼女の面影を見たのである
きっと 大好きだったその猫の心の中に 彼女も一緒に住んでいるのだろうと
僕は1人で納得していた
おしまい