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第1幕 その3

佐伯さんが鞄から出したのは指輪やネックレスといった5つのアクセサリーと1本の巻物だった。巻物を捲り、俺たち全員に見せるようにそれを広げて、彼女はそれを読み上げた。


「時が満ち 悪の影忍び寄る時 正義の勇者再度集いて 宝玉五色に輝かん」


達筆過ぎて読みにくい部分もあるが、確かに巻物にはそう書かれていた。

「この続きにはサイエンジャーについて色々と書かれているのだけれど、先程話した内容とあまりかわらないわ。つまり、今話したところで信じられる内容はほとんどないと言うことです。皆さんに信じて頂くには事件が起きた時にもう一度集まっていただくしかないかと。父の予言では近いうちに悪の手先が現れることになっているので。」

「なるほど、それはおもしろい。テレビで見たような怪人が実際に目の前に現れれば僕もあなたの話を信じることができるかもしれない。」

大蔵の意見にオレも軽く頷いた。正直ここまでの流れで彼女の話を信じる気など1パーセントもないが、実際にテレビ顔負けの怪人に遭遇しようものなら話の全てを信じてもいい。

「そう言って頂けるとこちらとしても話が早くて助かります。では次の機会に最終的な判断をして頂くということで。」

それから皆の連絡先を伝えた(水原だけは渋って教えようとはしなかった)ところで説明会は終了となった。


「三島君だったっけ?」

振り返るとそこには大蔵と水原の姿があった。

「あ、ちゃんとした自己紹介がまだだったね。僕は大蔵要。市内の私立大学の1回生だよ。隣は僕の彼女で水原芽依。同じ大学で同じサークルに所属してるんだ。」

「どうも。三島燈夜です。春から大学に通うので今はまだ高校生です。」

相手はどうやら1つ年上のようだったので敬語で簡単な紹介を済ませた。

「君は今日の彼女の話どう思う?僕は正直信じられないんだけど、嘘であんな事を言って彼女に得があるとも思えないんだよね。」

「オレも信じてませんよ。だけどもし本当だったらそれはそれでおもしろいことになりそうですけど。」

「せいぜい二人して騙されないようにね。」

今まで黙っていた水原さんがオレ達をにらめつけながらそう言った。どうやら彼女は微塵も信じるつもりはないようだ。

それからも今日の説明会について少し話したオレ達は、駅の手前に差しかかったところでそれぞれの家路についた。

電車に乗ったオレは、ひとりになると考える事をあっさりと止めることにした。元来考える事が苦手な性分なのに加え、考えたところで答えが出ると思えないと感じたからである。



それから3日が経ち、頭の中でサイエンジャーの存在が消えかかろうとしている頃、オレの運命を変える1本の電話が鳴るのだった。








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