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第1幕 その2

「5人揃ったところで話を進めましょうか。まずは簡単な自己紹介がいいかしら。私は佐伯夕菜さえきゆうな。今回の説明会においては主催者ということになるわね。」

そう言うと彼女は「次の方どうぞ」といった感じで、左端にいる男女二人に視線を投げかけた。

「僕は大蔵要おおくらかなめ。で、こっちが水原芽依みずはらめい。よろしく。」

「ちょっと、要!何私の分まで勝手に名乗ってるのよ!」

「いいじゃないか。これから仲良くやっていくんだから。」

「まだ私このバイトやるって決めた訳じゃ…」

どうやらこの二人は先程から同じ内容で言い争っているらしい。男はやる気十分、女はいまいち乗り気がしない…ありがちと言えばありがちな喧嘩のパターンである。

「次は私ね。えーと、高井田蓮たかいだれんです。27歳フリーターやってまぁす。」

張りつめた空気に臆することなく(むしろ空気が読めていないだけか?)中央に座った女性がそう名乗る。その話し方は見た目から想像されるものとのギャップが激しく、奥歯に何か詰まった時のようなムズムズした感覚をおぼえる。社長秘書かやり手女弁護士(オレにとって完璧な女性のイメージ)が今時の女子高生の言葉遣いで話している…そんな風に想像してもらいたい。

「最後はあなたね。」

再び彼女、佐伯さんがこの場を仕切る。

「オレは三島燈夜みしまとうや。どうぞよろしく。」

「皆さんよろしくお願いします。では早速本題の説明に移りましょう。求人広告で見て頂いた通り、皆さんにはサイエンジャーの一員になって頂きます。先程の適正検査の結果、大蔵さんはブラック、水原さんはイエロー、高井田さんはピンク、三島さんはブルー、そして私がレッドということになります。」

オレの時と同じように、他の連中も水晶玉がそれぞれ指定された色に輝いたのだろうか。

「それはヒーローショーか何かでサイエンジャーを演じるということか?」

大蔵と名乗った男が質問を投げかけた。それは数日前オレも真っ先に浮かんだことだった。

「いいえ。サイエンジャーは実在するわ。ここにいる5人がそのメンバーとして選ばれたのよ。」

「(要、やっぱ危ない仕事か何かだよ。話もよくわかんないしもう帰ろう。)」

大蔵の横で水原がそう耳打ちする。耳打ちといっても全員に聞こえる程の声量を保っていた。あえて全員に(主に主催者の佐伯さんに)聞こえるようにしたのかもしれない。

「もっと分かりやすく説明する必要がありそうですね。数年前テレビで放送されたサイエンジャーは、実際あった話を元に脚本が書かれたフィクション作品よ。その原作となった、つまり実在した初代サイエンジャーのレッドが私の父で、テレビ版の脚本を書いたのも父よ。」

分かりやすいどころか余計に頭が混乱した。サイエンジャーは実在した?つまりテレビに出てきたようの怪人がこの世の中には存在し、そいつらと戦うヒーローも存在していたということか?

「こんな話をしたところで誰にも相手にされないのはわかっています。私は父が持つ不思議な能力を間近に見て育ったのでまだ信じることができるけど…それでも数パーセントは未だに信じられないでいるもの。」

凛とした表情を崩さなかった彼女が一瞬伏し目がちになるのを見たような気がした。

「じゃあ、そのお父さんをここに連れてこれないかな?何か特別な力を使えるみたいだし、それを見たら今の話しも信じられる…かも。」

オレがそんなことを尋ねると彼女は首を横に振り、

「父はもうこの世にはいません。2年前に私にこれを残して…。」

そう言って彼女は何やら鞄の中から取り出すと、前のテーブルにそれを置いて見せた。














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