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逆ハーレムになると分かって動揺しないわけありませんわ!

作者: 金時豆

前作「逆ハーレムをすると分かって放置するわけありませんわ!」の続編です。


頭悪い内容ですが、楽しんでいただければ嬉しいです。

色々あった卒業パーティーから一ヶ月後、わたくしは王城に呼び出されました。

見事にあの時の五人が目の前に勢揃いですわ。


「とりあえず、オーギュストはアリエッタと市井に放り投げたから」


大丈夫です?あんなの周りにいたら市民の方に迷惑かかりません?


「贅沢しなければ」

「暮らして行けるだけの」

「「資金だすなんて甘いよね」」


最後の情けでしょう。そこそこの資金は渡したようですが、王族の暮らしに慣れている状態で質素な生活など出来るものでしょうか?

まぁ、予想する限りは無理な気がしますわ。


「それで、本題なのだが」


なんとなく避けてきた話題ぶち込んできましたわ。

この報告だけで終わったことになりません?はぁ、なりませんよねぇ。


「先日の件だが、考えてくれたか?」


第二王子のユリウス様はわたくしの手を取り碧眼の双眸でしっかり見つめていますわ。

セシリアではなく、前世の記憶が戻った今のわたくしではそれだけで刺激がたっぷりです。

ところで、廃嫡されたらもう第一王子になりますでしょうか。


「世間体には順序が繰り上がって私が婚約者になるのが一番ではないかな?」


確かに一番説得力がありますわね。ユリウス様は金髪を腰まで伸ばして一つにまとめておりまして、それはよくある想像する騎士様そのものですわ。普段は無表情ですがほんの少しの表情の変化でかなりのダメージを食らいます。

かっこよすぎて顔が真っ赤になるのを止められません。


「それなら私の可能性もあり得るな。」


王弟殿下のフィリップ様はユリウス様を押し退けてわたくしの前で跪きます。

夢に見る王子様の仕草で気を抜くと倒れそうですわ。


フィリップ様は少し濃い金髪を短く刈り込んで浮かべる表情には年上の余裕が垣間見えます。

というかここに集まった五人、色の程度はあるものの皆様金髪じゃないですかー!

何故にこんな配色にしたんでしょうか?色で個性つけられないなんて思いっきり絵師泣かせじゃありません?

眼はアイスブルーだったり紫だったりそれぞれなのですが。


「陛下の弟である私ほど君の名誉を傷付けたとして貰い手に相応しいのはいないんじゃないかな?」


皆さん押しが強くて本当困りますわ。

やたらとあちこち触って来るので全身一秒たりとも油断できません。


「王弟の君が次期王妃候補のセシリアと婚姻したら一枚岩でない貴族連中を御すのが難しくなるから駄目だな」


前王太子の嫡男のアーネスト様がフィリップ様と私の間に割り込みます。

アーネスト様は薄めの金で目にかかる程度の前髪と長さを揃えた真っ直ぐのさらさらした髪をしています。

よく似合う笑顔と流れ出る色気が相まって全身の血が噴き出しそうですわ。


「その辺出されると僕たちは不利だよ」

「旨味も何もない双子の王子だもんね」

「「セシリア様を一番愛してるのは僕たちだけど」」


双子のコンラッド第三王子とジェラルド第四王子がわたくしの頭を抱え込んで会話に入ります。

ふわふわのオレンジかかった金髪の同じ外見を天使のような、小悪魔のような無邪気な笑顔を振りまくので庇護欲をそそられます。

正直にいうと見てるだけで天国にいけそうです。


「何を。一番愛しているのは私に決まってるではないか」

「聞き捨てならないね、もちろん一番長くセシリアと知り合ってる私だろう」

「愛に時間の長さなんて関係ないだろう。それこそ出会ってから強く愛してる俺が一番だ」


ユリウス様、フィリップ様、アーネスト様がそれぞれに誰が一番愛してるのかと語り合い、さらにわたくしのどこが素敵だの聞いてるだけで茹蛸になりそうなほど熱弁されてますわ。


わたくしを巡っての五人の殿方の取り合いとか側で見ているとこそばゆいし、なんかもう色々叫びたくなります。


「セシリアは天使が舞い降りたに違いない」


真剣な顔でユリウス様が呟くと


「私としては妖精が迷い混んだ線もありだと思う」


フィリップ様がこれまた真剣な表情で頷きながらも応対してますわ。


それにしても誉めすぎじゃありません?

確かに記憶を思い出してから鏡の前で姿を写してはさすが乙女ゲームと思わしき世界なだけあって容姿端麗な整った顔だとは思いましたけれど。


「疲れているこちらを慮り、いつも笑顔で迎えてくれてどれだけ癒されたか」


そろそろ居たたまれなくなってきましたわ…。


「もうその辺にしておいてください…。わたくしとても恥ずかしいですわ」


恥ずかしさのあまりに赤面してうつ向いた状態から目だけ動かして五人を見上げます。

何故か皆がたじろいでますわ。


「それ反則なやつだ…」

「これだからセシリアは」


無自覚怖いってどういう事でしょう?


「セシリア様って誰か結婚を約束した人でもいるの?」


「いえ、特にそういった関係の方はいませんし、お父様にも当分は自由にしていていいと言われております」


既に婚約解消していたのは社交界に知れ渡ったはずなのに、どの家からも婚約の打診がないのは乙女心に少し切ないものです。


「じゃあセシリア様はこの中で誰が一番好きなの?」


コンラッド様がずばり直球投げられます。

そこなんですよね…。記憶が戻る前は確実にオーギュスト様が好きだったんでしょうが、今となっては騒動でそれどころじゃなかったのも手伝ってときめきなど感じなかったんです。

そりゃあこちらの五人と対面するとドキドキしますけど、愛とかじゃない気がしますわ。


「すみません、それがはっきりとわからなくて…。皆様のことは大好きなのですが順番をつけるとなると…」


皆様の愛をひたむきに感じるからこそ困ってしまいます。騒動もあったため色恋沙汰はお腹いっぱいですし。


「では誰が一番好きなのか決めればいい」


ユリウス様がおとがいに手をかけてそっと顔を近づけてきます。

ユリウス様睫毛長いな、なんて考えてましたら何やら唇に触れますわ。えっ、これはもしかして口づけとやらですか!?


頭では拒むべきだと分かっているんですが、角度を変えて唇を啄むような口づけに理性がとろけてしまいます。


「そんなんじゃ駄目だな。キスっていうのはこうするんだ」


フィリップ様が割り込んできて、わたくしの唇を奪います。なんだか頭がふわふわしてきて気持ちがいいですわ。


今度は舌が口内を掻き回して初めての刺激に足に力が入らずによろけそうになったところを、アーネスト様が抱き止めてくれます。


「二人ともがっつきすぎだ。」


やさしく包み込まれるように抱きしめられながら耳元で愛を囁やかれてどきどきしない人いないですわよ。軽く口づけをした後、首もとや耳やらに唇を押し当てて聞こえるリップ音でもう何も考えられませんわ。


「ちょっとなに跡つけてんだよ!」


コンラッド様は無理やりアーネスト様を引き剥がしてわたくしの真正面で真っ直ぐこちらを見つめてますわ。

年下とは思えない情熱的な眼がわたくしを捉えて離しません。そっと愛してるよと呟きながら口づけが恥ずかしくて目を閉じて感触だけを確かめます。


「ずるい、最後は僕だからね」


ジェラルド様がコンラッド様と入れ替わってわたくしの口内をこれでもかと堪能していきます。

離したときに糸が引いてるのが見えて恥ずかしさで我に返ります。

わたくしったら一体何をしてしまったんでしょう!

淑女たるものその場に流されて、五人もの唇を受け入れてしまうなんて。


「これではわたくし淑女失格ですわ」


まだ恋人でもなければ婚約者でもない殿方と口づけを交わすなんて。力が抜けてその場にへたり込んでしまいます。

お父様、お母様、はしたない娘で申し訳ございません。


「ふむ、それなんだが、こうして五人とも本気となると我々全員がセシリアの恋人になれば問題ないのではないだろうか」


さらっととんでもない事言いませんでした?


「わたくしはそのような事望んでおりませんわ!」


逆ハーレムなんて物語や妄想するから楽しいんであって、現実に起こったら軋轢を生むだけですわよ。


「やはり一人の手しか取ってもらえないと?」


一瞬で剣呑な雰囲気になった五人に緊張が走ります。


「では仕方ない、誰か一人残るまで殺し合いをして、勝った者がセシリアと婚約するしかあるまい」


ユリウス様の発言を合図に一斉に腰の剣に手をかけ、お互いを牽制しあってる五人を見てこれはまずいと警告音が鳴ります。

王族を殺し合いさせて残った一人と結婚しただなんて後世に残る悪女っぷりは御免ですわ。


「わかりました!わかりましたから剣を収めて下さい」


半ばやけくそ状態で叫ばずにはいられません。

そもそも、選択肢が極端すぎませんか!?


「セシリアならそう言ってくれると信じてたよ」


もしかして、まんまと策に嵌まってしまったのでしょうか。


「王族五人いるんだ、セシリア一人囲うぐらい造作もない」


いえいえ、常識的に無理だと思いますわよ!?

きっとこの場の全員が毒気に当てられているんですわ。一旦公爵家に帰って、整理するべきですわね。


「その辺りは後で詳しく詰めればいいんじゃない?」

「セシリア様も納得してることだし」

「「今はさっきの続きしようよ」」


双子のお二人がわたくしの腰に手を回して耳朶を甘噛みしたり舐めたりするのが、堪らなくぞくぞくしていけない気分になります。


「ひゃぁん!」


思わず鼻につく、自分でも聞いたことのない甘い声が零れてしまいます。

前方の三人の生唾を飲み込む音が妙に耳に届きますわ。


「だめっそこは…!んんっ」


頬に赤みが差すのがよくわかります。

駄目だとわかっているのについ感じてしまいますわ。


「そこまでだ。間髪居れずに煽られたらこちらが保たん」


顔を手で隠すようにしてこちらに待ったをかけるフィリップ様に、頷くユリウス様とアーネスト様です。


「いいところだったのに残念」

「ところで誰のが一番気持ち良かった?」


ウィンクしながらジェラルド様が問いかけてきますが、そんなの比べてる余裕なんてありませんでしたわ。

返答に困ってしまいます。


「「まあ、いいか。これからたっぷりセシリア様と愛を育めるんだもんね」」

「そうだな、お互いが抑制する必要もなくなったし」


何やら嫌な予感しかしません。


「あの、そろそろおいとましようかと…」


このまま流れては危険だと本能が訴えております。


「ああ、それなら公爵家には連絡しておくから、今日から王城でゆっくり過ごすといい」


ユリウス様が侍女を呼んで、てきぱきと指示を与えます。


「さあこれで、君はもう逃げられない」


魅惑的に、そして妖艶に五人が笑みを浮かべております。当の本人でなければ絵面最高なんですがね!


わたくし、どうなってしまうんです!?

五等分の花婿

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