30 エピローグ
小鳥のさえずりが耳に心地いい。開けっ放しにした窓から差し込む爽やかな風と朝の冷たい空気がとても懐かしい。
柔らかいベッドの上で目を覚ました俺は、懐に置いてある目覚まし時計で時間を確認する。
出勤まではまだ三時間以上もあった。
俺は、現実へと帰還したのだ。
そもそも、あれが夢だったのか、現実にあった出来事なのかも分からないが、俺は確かにあの世界にいた。
マナちゃんさんや、ロマネスク様、俺と同じように帰っていったタケルくん。
解説さんの嫌みもまた聞きたくなってきた。
時間はまだある。寝よう。
もう一度、あの夢を見よう。
今度こそ、目覚めることがない夢を見るのだ。
「おやすみ~」
だからベッドに横になり、再び眠りにつく。
あの楽しい夢をもう一度みるために。
『おやすみ~ではありませんよ!早く着替えて会社に行く準備をしなさい!』
夢の中で過ごした数ヶ月で、これまた慣れしたんだあの解説さんの声がする。
…………は?どういうこっちゃ?
『あなたがあまりにも不甲斐ないので、ご主人様に申告してこちらの世界に着いてきましたよ』
解説さん!解説さんじゃないか!
どうしてこっちの世界に!?
『私だけではありませんよ』
それってどういう意味?
思わぬ再開に興奮する俺の横で、空間の裂け目らしきものが開く。
これ、知ってるぞ!マナちゃんさんの魔法だ!
もしかして……。
『その、もしかして、ですよ』
「ここがナナちゃんの現実なのか~。って、えぇ!?男の人?!」
「ようワン公!って、男!?しかもイケメンじゃねえか!」
マナちゃんさん、ロマネスク様まで着いてきた。
三人とも、どうやってこの世界に来たの……?
「ナナちゃんにくっ付けてたマーキングを辿って着いてきたの」
「あたしは異世界に興味があって着いてきた」
この世界に来ても何も無いですよ。
それに、戸籍だって無いじゃないですか!
それに、現実の俺は男ですよ?
かわいいもふもふ娘じゃないんですよ?
「大丈夫だよ、ナナちゃん。それでも私はナナちゃんが好きだから」
『ちなみに、私がロードフェンリル様を通してこの世界に来る準備を済ませて置きました。彼女たちは名実ともに、この世界の住人の一人としてカウントされます』
そうか、そりゃあ安心だな。
戸籍とか、生活費とか、全部ロードフェンリルが用意してくれたらしいな。
マナちゃんさんたちの当分の生活も安泰だな。
「ナナちゃん!」
「ワン公!」
『あなた!』
三人の彼女たちが、俺を引っ張って外へ連れていこうとする。
オオカミの魔物で異世界転生したら、こんなことになるとは思わなかった。
これからの生活がどうなるのか、どったんばったんしながら想いを馳せる。
取り敢えず、これだけは言わせてくれ。
みんな、この世界を楽しんでくれよ!
かなり乱暴なストーリーと終わらせ方になったのは否定できない……。
次回から今回の反省を生かせてじっくり作るといいな(他人事)




