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オオカミ魔物で異世界転生  作者: コインチョコ
2/31

1 マナちゃんさん


森の中を歩いていると、なにかの気配を感じとった。

犬になったおかげで、敏感な嗅覚と野生の本能で敵の気配を察知できたのだ


草むらの中から早速、魔物がお出ましだ。


何が出るかな、何が出てくるか楽しみだ。


俺に倒せる程度の相手だといいが、それ以外だと逃げるしかなくなる。逃げるんだよーって言ってな!

今はワンとキャンとアンしか言えないけど。


「キィーー!!」


草むらから出てきたのは、体長一メートルほどのタランチュラみたいなでっかいクモだ。

気持ち悪っ!

そういや、エイリアンが地球を侵略するゲームで、こんな感じの敵いたな。


ねえ解説さん、ステータス閲覧できますか?


俺がそう言うと、解説さんは快く敵のステータスを教えてくれた。


名前/無し

種族/フォレストスパイダー

体力/20

パワー/12

スピード/9

タフネス/10

魔力/10

レベル/3

経験値/5

スキル/蜘蛛糸 レベル1


解説

クモ型の魔物。

体長は最大で十メートルほどの大きさに成長する。

蜘蛛糸には強酸性の液体が含まれていて、新人冒険者の難敵とされている。

レベルが上がっても進化しないありふれた魔物。



俺よりも強い。ていうかこいつ、十メートル位になるの?そこまでいくともう怪獣ならぬ怪虫じゃねーか。

まじであの地球を守るゲームから飛び出してきたような敵じゃん。


でも戦闘力はそこまで差がついてる訳じゃないし、上手く立ち回りさえすれば、戦えそうな気もしないでもない。


「キャンキャン、ギャン!」


だったら、先手必勝だ。


俺はすかさずフォレストスパイダーの足に噛みつく。

子犬でもさすがは魔物。膂力(りょりょく)大したもんだ。


自分の倍以上の体格があるクモの脚に牙が立った。

外骨格を突き破った牙越しに、ぬめっとした体液を感じるのが気持ち悪くて、一瞬怯んで飛び退いてしまった。

味は感じなかった。さすが俺の夢。都合の悪いところはカットか


俺が後ずさった瞬間、さっきまで俺がいた場所にクモの脚が突き刺さった。

フォレストスパイダーの脚先は刃物の形をしていて、その脚を武器にして振り回せるみたいだ。


あっぶね~。あと少しで串刺しだったぜ。


俺の今までの経験則からして、夢の中で死んだら強制的に現実に引き戻されるから、死ぬのだけは避けないと。


とか言ってたら、今度は魅惑のヒップラインをこっちに向け、汚い穴をヒクヒクさせてる。

あ、これは……。

察した俺はとっさにその場を飛び退く。


ピシュー、という空気が抜ける音と共に放たれたのは、蜘蛛の糸。

多分、こいつのスキルにあった蜘蛛糸だろう。

地面がちょっと煙を上げて溶けてるし、避けて正解だったな。

酸性の糸とか怖すぎだろ。


しかし、犬の身体能力はすごいな。

運動音痴でもスポーツ万能でもなかったはずの体が思いどうりに動く動く。


蜘蛛糸による反撃を避けながら、背中に飛び乗ってまた脚に噛みついた。


鉄臭い体液が俺の口一杯に広がり、白い毛並みを黄色く汚すが構うもんか。

思いっきり噛みついて脚を根元から食いちぎる。


「キィィー!!」


クモが悲鳴を上げてる。あと少しだ。


クモは体の構造上、背中に脚は届かない。


悲鳴を上げてるのを無視して俺は顎にありったけの力をこめて、頭を食いちぎる。


頭を無くし、ズシンと倒れるクモから飛び降り、俺はご満悦だ。


解説さんによると、俺(子犬)は戦闘力が低いってあったけど、案外そうでもなかったな。


1体倒せた。レベルはどれくらい上がってるかな。


解説さん。ステータス閲覧、お願いします。



名前/無し

種族/子犬

体力/5→7

パワー/5→7

スピード/5→8

タフネス/5→6

魔力/4→5

レベル/1→2

経験値/0→6

スキル

ポケットディメンション レベル1

ステータス閲覧 レベル1

解説


解説

どこにでもいる子犬型の魔物。

経験値を貯めると魔物『オオカミ』に進化する。

ペットや使い魔として人間人気が高いが、戦闘力は低い。



うん、まあいいんじゃないか。

レベルも上がってるし、経験値をどれくらい貯めればいいのかは知らないけどさ。

てか、レベルと経験値は関係ないのかな。

解説さん。説明お願いします。


『解説します。レベルはその魔物、人物の成長限界の基準であり、MAXであるレベル100にたどり着くことは潜在能力を限界まで出しきったことを意味します。

経験値は魔物だけのステータスであり、倒した敵の魔力や経験値の一部を経験値として貯めこんだものが経験値です。経験値は進化の際のエネルギーとして消費されます』


なるほど。説明ありがとう解説さん。

現在のレベルでは解説できませんとか言われたらどうしようかと思ったよ。

さすがに最低限の説明はできたか。良かった良かった


『………』


あれ?解説さん怒ってる?


『怒ってなどいません』


そうですか。


解説さんとのためになる雑談を打ち切り、俺は他の魔物を探しに出かけた。


程なくして蛇型の魔物を見つけて俺は息を潜めた。

まずはステータス閲覧と解説を見ないことには始まらないからな。



名前/無し

種族/フォレストスネーク

体力/50

パワー/80

スピード/20

タフネス/90

魔力/30

レベル/20

経験値/90

スキル

丸呑み レベル3

蛇毒 レベル2


解説

森に棲む蛇の王様。

どんな敵も丸呑みにして平らげる。




強すぎるだろこいつ。

いきなり戦わなくて正解だったな。

一番低いスピードですら俺の倍以上じゃねえか。

他のステータスはパワーとタフネスが高いし、典型的なパワーファイターだろうな。

今は力を蓄えて、強くなったら倒そう。


俺はこっそりその場を離れようとして、バキッ!


………あっ。


足元にある小枝を踏んでしまった。


「シュー、シュー」


頭の上からなにかの息づかいが聞こえるなー(棒読み)。


恐る恐る上を見ると、


「シャアアアアア!!」


キャーーー!!


大口を開けて襲ってきた蛇野郎を寸でのところで回避!

あっぶね!あと少しで現実に強制送還だったわ!


「シャアアアアア!!」


攻撃を外して再び襲いかかってくる蛇野郎からダッシュで逃げる俺。


冗談じゃない!死んでたまるか!


「ワンワンワフゥ!(こっちくんな!)」


ステータスによれば、スピードは向こうの方がずっと速い。

これは命懸けの鬼ごっこだ。

子犬の生存本能に従って攻撃を回避すること数回。

とうとう俺は崖っぷちに追い詰められた。

目の前には巨大な崖が切り立っていて、登れそうにない。


チクショウ。俺の冒険もここまでか。


「シャアアアアア!!」


飛びかかってくる蛇野郎の動きがやけにスローモーションに見える。

これがいわゆる走馬灯?

ゆっくり過ぎて避けれそうだなと思ったけど、体が動かないや。やっぱり無理。

観念して目を瞑ろうとすると、


「風刃!!」


横から飛んできた刃がスパアとフォレストスネークの首を切り落とした。

司令塔を失った体が地べたでびくんびくんしてるのが絶妙にキモい。


刃の飛んできた方向を見ると、三角帽を被った杖を持った女の子がいる。

この子が俺を助けてくれたのか?


「怖かったねワンちゃん。もう大丈夫だからね」


そう言って俺を抱き上げて「よしよし」言いながら頭を撫でてくる女の子。


解説さーん!ステータスを見せてー!



名前/マナ

種族/人間

職業/魔法使い

体力/500

パワー/20

スピード/20

タフネス/20

魔力/4999

レベル/25

経験値/???

スキル

魔法使い/レベル100(MAX)

魔術師/レベル100(MAX)


解説

人間の魔法使い。

百年に一度の魔法の天才で、魔法魔術学校を飛び級主席で卒業している。

伸び代も大きく残しており、今後の成長が期待される。



あらやだ、この子強すぎ。

てかスキルのレベルが両方とも100とかおかしくね?MAXじゃん。

それに、レベルがまだ25なのに、魔力が4桁ってもう開いた口が塞がらないよ。

レベル100がMAXなら、マナちゃんさんは潜在能力のたった4/1でこれだけの力を持ってるっていうことじゃん。


それと経験値が???ってどういうことなの解説さん。


『数字過多のため、現在のレベルでは測定できません』


どうやらマナちゃんさんは強すぎるあまり、スカ○ターの数値を振り切ってしまったようだ。

もしかして俺は今、とんでもない化け物(ラスボス)とエンカウントしちまったんじゃないか?


「君、どうしたの?親とははぐれちゃったの?」


純真無垢な瞳で俺を見つめて話しかけてくるこの子が、俺より何倍も強いだなんて信じられな……今目の前で蛇倒したじゃん。フォレストスネーク倒したやん。俺より強いやん。


『レベルアップしました』


おっ、解説さんどうしたの?


『スキル『ステータス閲覧』がレベルアップしました。

今後はステータスに性別、年齢が新たに追加されます』


レベルアップか。それはいいや。年齢と性別が分かった程度でなんだって話だけど。


『表示しませんよ?』


すいません嘘です。超便利です。


『分かればいいんです』


じゃあ、解説さん。

新しくなったマナちゃんさんのステータスを見せてくださ……やっぱりいいわ。


女性の年齢を勝手に調べるとかキモすぎだろ。

俺はマナちゃんのストーカーでも、誕生日プレゼントを贈ろうとする同級生でもねえんだから。


『閲覧します』


あっ、ちょっ、おまっ!


名前/マナ

種族/人間

性別/女

年齢/15

職業/魔法使い

体力/500

パワー/20

スピード/20

タフネス/20

魔力/5000

経験値/???

レベル/25

スキル

魔法使い/レベル100(MAX)

魔術師/レベル100(MAX)


解説

人間の魔法使い。

百年に一度の魔法の天才で、魔法魔術学校を飛び級主席で卒業している。


伸び代も大きく残しており、今後の成長が期待される。



やんなくっていいって言ったでしょ!

なんでやるのおおおお!

地味に魔力回復してるし!


『途中キャンセルはできません』


それ先に言って!









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