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オオカミ魔物で異世界転生  作者: コインチョコ
13/31

12 コロシアム観戦します 前編



マナちゃんさんの使い魔になって数週間が経った。

この数週間ずっとマナちゃんさんと一緒に俺が元々いた神樹の森に行って密猟者と戦ってたりしてました。

オーガスタ以外にもそういう不届き者が意外と多かったぜ。

まあマナちゃんさんの手厚い保護と援護のおかげでまだ弱い俺でも結構戦えたし、レベルも2上がった。ステータスは全項目が更に一回り上がって強くなれた。

生活も、もう固くて冷たい地面で寝る必要も無くなったし、飯の心配も無くなった。

マナちゃんさんの家ならいつでも柔らかくて暖かい寝床があるし、飯も腹一杯食える。

てか、マナちゃんさん(ご主人様)の家は街で一番大きいことを知った。

当然ながら、俺の現実の家よりも大きい。

俺の家は安アパートだったが、マナちゃんさんの家は豪邸……というか城だ。

小さい女の子が憧れるような洋風の小さいお城だ。


これで何度目の驚愕か、検討もつかない。


とにかく、マナちゃんさんは財力も反則的だったようだ。

そのマナちゃんさんの同僚のあのシー○ルク紛いの女戦士は何者なんだろうか。

解説さん曰く、パワーとタフネスが推定4桁超えの怪物らしいが……。


そんなある日、マナちゃんさんがどこかへ出かける準備をしていた。

いつもの魔女っ娘の服装じゃないから仕事ではないらしい。

シャツとスカートとスカーフを巻いたマナちゃんさんが俺に予想外の一言を言ってきた。


「ナナちゃん。今からコロシアムに行くから、着いてきてね」


清楚で優しいはずのマナちゃんさんに、コロシアムで剣闘士の戦いを見るなんていう、血生臭い趣味があったとは……。

人は見かけによらないっていうか、なんというか、意外だな。


『剣闘士の試合とは限りませんよ?猛獣や魔物同士で戦わせることもありますから。それと、あなたが思っていることとは恐らく違うと思われます』


え、どういうことさ?解説さん。


『私がこの間話した彼女についての憶測を聞いていれば、分かりそうなものですがね……』


呆れた声で吐き捨てられた。

また俺、なにかやっちゃいました?


『私に体があったら殴りかかれたのに、残念です』


俺には嬉しいけどね!


「なにしてるのナナちゃん。もう行くよー」




マナちゃんさんに着いていき、コロシアムに到着した。

建物は前に修学旅行で訪れたことがある、ローマのコロッセオに似ている。大きさも大体同じくらいだ。異世界なのに、現実からトレースしてる位酷似してるのは、俺の夢の中だからかな。

違うところがあるとすれば、ここは実際に使われているということくらいだ。


コロシアムの外は中に入ろうとする人で溢れかえっている。

この調子では中も同じ状態だろうな。


『入場札の売り場も1時間待ちの行列が出来ています。まあ、札はもうすぐ売り切れるようですがね』


マナちゃんさん札買えるの?

俺は中に入れるのか?

色々と疑問が浮かんでくるが、ここは俺の夢の中の異世界だ。

気にしたら負けだ。


「ナナちゃん、こっち来て。私たちは専用の席があるから」


マナちゃんさんはVIP待遇のようだ。

手に持ってる札も普通の人たちが購入してる木の札とは違う、黄金色に光ってる一目で分かる特別な札だ。


やっぱ金持ちは違うな。


入場しようとしたら、案の定、俺は受付で警備員に止められそうになった。が、マナちゃんさんが自分の使い魔だと言うとあっさりと通して貰えた。

しかもおやつの干し肉までくれた。

マナちゃんさんの人望すごいよ。さすがマナちゃんさん!さすマナ!


案内された席は闘技場全体を一望できる1番高い席。

料金も高かったろうな。


『ここなら思う存分試合を観察できます』


これには思わず解説さんもニッコリ。


マナちゃんさんも恋煩いをする乙女のようにウズウズして試合を待ち望んでいる。

マナちゃんさんの新しい一面を見て、彼女を見つめていると、俺の視線に気づいた彼女が話をしてくれる。


「今日はね、私の親友が最終試合(ラストマッチ)で戦う日なんだ。楽しみだね♪」


親友とはあの日、俺を雑な手つきで撫で回したあの女戦士(シーハルク)のことだろう。


あの人の試合を見れるなら、俺も楽しみだ。

マナちゃんさんの膝の上で丸くなりつつ、期待に胸を高鳴らせる。


『私としては、彼女の試合にしか興味がありませんがね』


そうは言ってやるなよ。他の人の試合も楽しもうぜ。


とか解説さんとの雑談に花を咲かせていたら、最初の試合が始まっていた。


いつの間に始まってたんだ。知らなかったんだが?


『注意力も集中力も足りていませんね。さぞや学校の成績も悪かったでしょうね』


これでも成績は良かった方なんですよ!バーカ!バーガー!


『今すぐ私に謝罪しなければもうステータスは表示しませんよ』


ごめんなさい。すみません。俺が悪かったです。


『今回は見逃します。次は無いのでそのつもりで』


俺が解説さんを挑発して、速攻で心のなかで土下座して謝っている間に、試合は第2試合に進んでいた。

まだ全然観てなかったのにー!


『諦めなさい』


はい。


第2試合の選手も二人とも筋肉ダルマの男だ。

両方とも木剣で切りあっている。どうして真剣を使わないんだと思っていたら、マナちゃんさんが解説してくれた。


「最初の3試合は木刀で戦う非殺傷試合なんだよ。子供や女性向けにこういう緩い感じの気楽に楽しめる試合(マッチ)を設けてるんだってさ」


へー。コロシアムは殺しあいだけじゃないんだな。

もうちょいモラルも理性も崩壊してて、モヒカン野郎がヒャッハーしてる感じかと思ってた。


自分で思って、さすがにそれは無いかと否定する。


さすがに世紀末モヒカン野郎なんてこのコロッセオ擬きのコロシアムにいる訳が………。


「ヒャッハァァァァーーー!!!」


おるーーーー!!


3試合の片方が肩パットでモヒカンでヒャッハーしてるぅぅぅぅ!!


「ヒャッハー!!相手にならねぇなあ!」


「ク、クソ!」


しかも超強いし!?

相手一方的にのしてるし?!

あいつ何者だよ!


「彼の名前はモヒ・カーン。このコロシアムの人気者の1人で、彼に憧れて剣闘士を目指す子供も多いんだ。

試合の時はテンション高いけど、普段は紳士的で柔らかい物腰で対応してくれるジェントルマンなんだよ。

女性にも人気があるんだよ」


アレが!!嘘だろ?!


あ、モヒカンが勝った。

試合は圧倒的過ぎて俺の貧困なボキャブラリーじゃ、表現できないほど強かった。


「カーン様!こっち向いてーー!」


「カーン!カーン!カーン!」


「カーンさん!サインください!」


「かっこいいー!」


モヒカンの勝利に歓客のボルテージもめっちゃ上がってる。

ホントに人気者だな。

……人って見かけによらないんだなぁ。








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