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オオカミ魔物で異世界転生  作者: コインチョコ
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プロローグ

ブラック企業ってのはこんなにも過酷なのか。

今日も遅くまで残業だった。

日付は既に変わっている。

毎日こんな調子だと頭がおかしくなりそうだ。


俺は殺人的な書類の山を俺に押しつけて、先に帰りやがったあのハゲを心の中で罵りながら家に帰った。


家に着いたら直行でベッドにダイブする。


ふぅ~。お高いベッドの柔らかさと暖かさが体に染みる~。

さすがはちょっと高級なベッドだ。そこいらの安物とは一味違うぜ。


極度の疲れから何もする気が起きず、俺はそのまま夢の世界に旅に出た。
















心地のよい微睡まどろ みから目を覚ますと、俺は知らない場所にいた。

さっきまでベッドでゆっくり眠っていたはずなのに、目を覚ましたら知らないどっかの森の中だ。


どうして俺はこんなとこにいるんだ。


寝てる間に誘拐されたとかか?夢遊病が再発して自分でここに来たのかも。


ここ最近はご無沙汰だったから油断してたけど、そうだとしたらかなり怖いな。


今まで家の外どころか部屋から出ていたことすら無かったから、ここがどこなのか、家からどれくらい離れてるのかも分からない。


車とか運転してないよな?帰れるかわからんぞ?ん?


明日も仕事なのにどうするだよ。


……非常事態にこんなこと考えてるあたり、俺も社畜極まってんな。


あ、もう一つ可能性思いついた。


なんかのドッキリで寝てる俺を部屋から連れ出して、俺がびっくりしたり、慌てたりするのを別室でモニターしてて皆で面白がってるのかも。


俺の上司なら、こういう面白いこと思いついたら間違いなく、躊躇いなくやるぞ。


仕事は出来るし優しいけど、お気に入りのやつにこういうとこするから「気に入られてはいけないあの人」ってあだ名つけられるんだよなあ。

それならさっさとてってれーってやって欲しいんだけどな。


俺の体内時計によると、今は夜の三時頃。


早く家に帰って夢の国に戻りたいんだが。


改めて周囲を見渡すと、辺り一体の木はかなりでかい。


どれもこれも樹齢二百年を越えてそうな太くて高い木ばかりだ。


周りには鬱蒼と大木が生い茂り、風で枝が揺れて木葉が奏でる音がする。


深夜なのも相まってすごく不気味に感じる。少し怖い。


まあでも、俺も良い歳こいた立派な社会人だ(半年程度です)。


だから幽霊だの、闇に潜む化け物だのは信じていないし、小さい子みたいに暗いところが怖いわけじゃない。


雰囲気のせいで不気味に感じる錯覚をしているだけだ。


大人で「俺、幽霊信じてるんだ」とか真顔で言ってる人はちょっとこっちからお付きあいを拒否するわ。


と、ここまで思考と言う名の現実逃避を続けたのでそろそろ現実に戻ろう。


とりあえずはこの森を出ようと思う。


森のどの辺にいるのかは知らないけど、辺りは車やバイクが走れる道はないから多分徒歩で入ったんだろう。


正しい方向さえ分かればなんとでもなるさ、と思って足を踏み出そうとして、俺は体に違和感を感じた。


なんか手足が変だ。


不思議に思って手を見ると、それはいつも息子がお世話になってる右手じゃなかった。


白い毛がふっさふさに生えていて、ピンクのぷにぷに肉球がなんとも愛らしい動物の手、もとい前足だった。


なんじゃこりゃああああ!!


「クゥゥゥウン!!」


こんなの叫ばずにはいられない。出た声は犬みたいな声だがな!

俺は今、どうなってる?!不安だ!気になる!


もしかして犬になってるのか。しかも声からして子犬っぽいぞ。


よく見ると地面がすごく近くにある。


周りの木も大木なんかじゃなかった。俺が小さくなってるから大きく見えてただけだ。


とりあえず鏡見なきゃ!いや森の中にあるわけないだろ。バカか俺。


鏡の代わりを探さねば。水溜まりとか。


不安と焦りから慣れない四足歩行で駆け出し、何度も転んで土にまみれて体が汚れるけど、それを気にする余裕はない。


水の音がする方角に走り続けてやっと見つけた。


開けた場所にある大きな湖だ。


恐る恐る水に映る自分の姿を見て、俺は息を飲んだ。


そこには、二十X年連れ添ったあらゆる女の子を振り向かせるかっこいいアマイマスク(大嘘)が木っ端微塵にぶっ飛んだ、なんともかわいらしい子犬フェイスの姿があるではないか!


「クゥン」


声は切ない捨てられた子犬ボイスだ。


なんだこれは、なんなんだ。


なんで、なんで…………なんで、猫派の俺が、よりにもよって、犬になってるんだよおぉぉぉぉお!!


「ワオオオオン!!」


チクショオオオオ!!と吠えたくても犬の鳴き声しか出ない。


しばらくは愛する猫になれなかった悔しさで地面を転がり、地団駄踏んでいたが、次第に頭に上った血が下りてきたら次第に状況が分かってきた。


て言うか犬になってるっていうこの状況がおかしい。


うん、夢だなこりゃ。


そう思っていると、頭の中になにかのアナウンスが響く。



名前/無し

種族/子犬

体力/5

パワー/5

スピード/5

タフネス/5

魔力/4

レベル/l

経験値/0

スキル

ポケットディメンション レベル1

ステータス閲覧 レベル1

解説


解説


どこにでもいる子犬型の魔物。

経験値を貯めると魔物『オオカミ』に進化する。

ペットや使い魔として人間人気が高いが、戦闘力は低い。


………。なんだこれは?


これが今の俺なんだろうか。


ゲームみたいなステータスだな。てか俺のステータス、低すぎ………。


夢の中とはいえ、ずいぶんと弱っち……かわいい魔物だな。


まあ、どうせ夢なら覚めるまで楽しもうか。


どうせ数時間程度で目を覚ますだろうしな。

とりあえず喉が乾いていたので湖の水で喉を潤し、これからどうするか考える。

にしても、このスキルっていうのはなんだろう。

ポケットディメンションっていうと、あれだな。どこぞの財団が保護してる腐ったおじさんとか、猫の皮を被ったタコの怪物の腹ん中とかを想像するな。

これなんなんだろうか。

名前からして、食ったものを別次元に仕舞えるとかか?


『解説します』


おっと、なにか答えてくれたぞ。親切設計な夢だな。


『スキル、ポケットディメンションは補食したものを体内にある異次元空間に収納できるスキルです。ポケットディメンション内は時間が存在しない無限の空間が広がっており、その空間内にあるものは瞬時に出し入れすることができます』


なるほど。ドラ◯もんのポケットか。便利だな。


まあ、使ってるうちに使い方も分かるだろうな。説明書など読まん。


ところで、他のステータスは?


ほら、パワーやスピードはともかく、タフネスとかがよく分かんないし。


『ステータスのタフネスは、防御能力を数値化したものです。


この数値が高いほど、敵の攻撃を緩和、無力化できる能力が高いということになります。敵のパワーを自分のタフネスが上回っていた場合はその場の状況や敵のスキル、能力、魔法にもよりますが、敵の攻撃でダメージを受けることはまずありません』


まず無いってことは、多少はあるってことだね。


はい皆さん、ここテストに出ますよ。


それって、ステータスは絶対じゃないってことですか?


『ステータスはあくまでも、その相手の身体能力、魔力、技術を測定して数値化したものです。


場合によってはジャイアントキリングが起きる可能性も0ではありません』


あ、ところで解説さん。この俺の夢の世界はどういう世界なの?


剣と魔法のファンタジーかい?


『現在のレベルではお答えできません』


ケチくさっ!


『ケチではないです』


悪口には反応すんのかい!


ちょっとお茶目な解説さんは置いといて、ステータスの方の『解説』では経験値を貯めると進化して『オオカミ』になるって言ってたな。


よし、じゃあ、レベリングしよう!


多分この世界はファンタジー世界だし、ステータス表記もされている。レベリングといえばバトルだろ。


そうと決まれば早速、夢から覚めるまで戦いまくるぞー!


俺が倒せる程度に強いやつ、出てこいや!

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