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 今日は結局ずっとベッドの中で過ごした。


 食事の時だけダーマッドの膝の上。




 今は夜。ベッドの上、ダーマッドの腕の中。これだけずっと一緒にいてもまだ夢を見ているよう。


 だって、ほんのひと月まえには、手を触れることさえ諦めていた初恋のひとの温かな胸に、腕に抱き締められているなんて。



「ねぇ、ダーマッド」


「なぁに?グィネヴィア」


 ダーマッドは、これまでの落ち着き払った穏やかな態度からは想像もつかないようなキス魔だった。誰も見てない時にはあちこちに軽いキス、ふたりきりの時には蕩けるような濃厚な、キス。



 今はふたりきりなのに軽いキスをずっとしている。どうしたのかしら?じゃなくて、



「第二王子にまだ会えてないのだけど、何か聞いてる?」


「……その話、今じゃなきゃ駄目?」


「うーん、今気になったから」


 ダーマッドが拗ねたようにわたくしの顔を上目遣いで見つめながら、キスしていた指を甘噛みする。キス魔なだけでなく、嫉妬もする。こんなにも感情表現が豊かだなんて知らなかった。愛しくてたまらない。


 このひとは自然としているのだろうけどどんだけ艶かしい顔しているのかわかって、ないんだろうなぁ。あんなにキャーキャー言われたのにまだ自分が地味で冴えないとでも思ってるみたい。




「隣の国に、うちの国と逆の北の方ね。視察に行ってるらしいんだけど」


「だけど?」


「何だか居所が掴めないらしい。辺境伯のところの隠密をやって足取りを調べてる」


「ジェラルドも気が気じゃないでしょう?心配ね」



 辺境伯の奥方、リュシラ伯母はダーマッドだけでなくジェラルドにも惜しみなく協力している。前は王子だから気を遣っている風だったのに今ではダーマッドと同じくらい可愛がっているようにも見える。


 第一王子のジャスティンと違って第二王子はまともだとジェラルドが言っていた。


「自分と一緒で、小さい頃から危険に晒されて来たはずだから絶対大丈夫ってジェラルドが言っていたけど」


 心配そうだったなぁ……とダーマッドのキスが止まった。うざそうにしてるけどダーマッドもジェラルドのことが好きなのだ。妬いてしまうな。



 今回この国に来た目的は第二王子を立太子すること。まずは第二王子の安全を確保せねば。


「国王はまともそうなのにどうして第一王子のやりたい放題になってるのかしら?」


「うーん、色々事情があるみたいだけど、今聞きたい?」


「うん……出来れ…ば……」


「私はグィネヴィアとのふたりきりの時間を楽しみたいのだけど」



 ダーマッドが、唇に軽く触れるところで囁く。熱い吐息と柔らかい唇の感触がこちらの理性を溶かしてくる。このひとはどこでこんなやらしいことを学ぶのだろう……もう、無理。と思うのにそれ以上は何もしてこない。



「ダーマッド?」


「今夜は身体を休めないと。一日ベッドの中で辛かったでしょう?」


 私的には独り占めできて良かったけど、と小さく呟くのが、可愛い……!わたくしの身体を気遣ってくれてたのね。


「ダーマッド。タマル様に頂いた薬湯、とっても良く効いてるみたい」


「ほんと?良かった」


「うん、だからね、あの、ほら昨夜みたいなのは駄目よ?でも、ちょこっとなら……」




 ダーマッドががばっと覆い被さると深いキスをしてきた。





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