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「…………………☆……………!!?!☆!?!!◎!」




 騎士服に着替えてタマル女帝を招き入れると手で口元を押さえて無言で固まっている。目の表情がうるさいが。



「ダーマッド……!」


「なんです?」


「好き」


 タマル女帝の目がうるうるとしている。横でジェラルド王子が呆れている。




「だからストレートじゃときめかないらしいですよ」


「黙れジェラルド……ふわぁぁぁぁ……なんとまぁ……うぅ」


 泣いてしまった。


「そんなに騎士服好きなら帝国騎士の服もこのタイプにされてはいかがですか?あんなフワフワしたのじゃなく」


 帝国の服は、女帝の格好もそうだが大体フワフワしている布をたっぷり使っているものだ。金銀色とりどりで柄も多い。私のシンプルな騎士服とは対照的だ。


「いや、ダーマッドだから好いのじゃ麗しいのう……うぅ」


 涙が止まらないらしい。ジェラルドがハンカチで甲斐甲斐しく拭ってあげている。




「ダーマッド全然嬉しそうじゃないねぇ」


 ジェラルド王子も上から下までじっくりと私を眺めている。


「なんか分かる気がする。ダーマッド、君はスタイルがとてもいい。手足が長くて頭の形が綺麗だ。それ着ると、なんだろう?凛としてるというか」


「それじゃ!凛としてる、さすがじゃジェラルド!おぬしはひとを褒める言葉はスラスラとでてくるな。ダーマッドは凛として格好いい!」


「……はぁ」



 いや、なんかそんなに絶賛されても恥ずかしい。


「顔が真っ赤だ。可愛いなダーマッド」


 黙れジェラルド、お前まで可愛い言うな!にやにやするな!



 今までそんな事言われたことがない。男前も格好いいも可愛いも言ってくれるのはタマル女帝だけだ。きっとタマル女帝の好みが独特なんだろう。正直女性には全くモテたことがない。



「ジェラルド王子が着たほうがより格好いいと思いますよ?」


「ジェラルドが着るのはなんか違う……あ」


 タマル女帝が鼻を噛みながら何か思い付いたようだ。嫌な感じしかしない。


「ジェラルドは女装がすこぶる美しかったのう」


「嫌です」


「まだ何も言うとらん。が話が早くて助かる。ハーラよ、あの時のあれをもて。ジェラルドの時のように頼んだぞ」


 タマル女帝は扉近くに待機している侍女に指示を出すと出来上がったら呼べ、と嬉しそうに部屋から出て行った。入れ替わるように侍女が五人わらわらと入ってくる。


「やめろ、触るな、うわっ」


 侍女たちは全く真顔で、無言で私を取り押さえるとテキパキと着替えを済ませて化粧に取り掛かる。相手が女性だと無理矢理振り払うと怪我をさせてしまいそうでされるがままだ。


「女装ね、わりと楽しかったよ?」


 ジェラルドがにやにやと楽しそうに見物している。


「あー、はぁ。あれだね、化粧映えするね。ほっぺがふんわりしてるし顔小さいし肌綺麗だし。あー、いいね。いいよダーマッド、ドレスも似合う。可愛い」


「うるさい黙れ」


「うわ、やっば、めちゃくちゃ可愛い!かつら付けると全然男ってわかんないよ。こんな娘が夜会にいたら僕絶対口説いちゃうな」


 褒めスキル発揮するタイミングおかしいぞ。既に敬語でさえないのに気付けジェラルド。そういうとこだぞ。やめろ、抱き締めようとするな!







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