表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/151

幕間「乙女たちのさえずりPart3」



「えいっ!」


「とりゃあー」


「はっ!」


「【ファイヤー】!」



 ジューゴが王都【ラヴァルベルク】でアスラ騎士団長と決闘を繰り広げていた頃より少し前まで遡る。

 ゴブリンの大群が今もなおその規模を拡大している最中、例のかしまし娘たちは【コルルク荒野】にいた。



 たった今、数匹のモンスターの群れと戦いそれを撃退した四人の乙女たちは近くの岩場で休憩することにした。



「それにしてもアカネもカエデもいつの間にそんなに強くなったの?」


「三日に一度の接続率のユウと違って、あたしもカエデも接続率高いからね。ほぼ毎日ログインしてるよ」


「それにしたって頑張りすぎじゃない? 何かあったのかなぁ~?」



 金髪碧眼の見た目は美少女のユウが赤髪ターコイズブルーの瞳を持つ美女をからかうような口調で疑問を投げかける。



「べ、べつになんでもないよっ、ただもう少し強くなれば難しいクエストとかも攻略できるかなーって思っただけさ」


「ひょっとしてジューゴくんが関係してたりぃ~?」


「ぶっ」



 ユウの口から突然ジューゴの名前が出た事で思わず吹き出してしまい、それがアカネの頑張りの理由を肯定する意味を多分に含んでいた。



 それを目ざとく理解したユウは口を三日月のように歪めると、嫌味たらしく話し出す。



「おやおやー、久しぶりにアカネちゃんにも春が来ましたかー、それはそれは何よりですねぇ~」


「ち、ちがうアイツとはそんなんじゃない!!」



 全力で否定するアカネだったが、カエデと同じく幼馴染と言っても差し支えないほどの付き合いのあるユウからすれば、今のアカネの態度が全てを物語っているのは明白だった。



「別にいいじゃん、アカネが好きなら僕はいいと思うけど?」


「……」



 そう言いながら押し黙ってしまう彼女の態度を見たユウは確信する。

 アカネが本気で彼に惹かれているという事に。

 そんな微笑ましい友人に対し、今後のアプローチのアドバイスをしようとしたところで、声を掛けられた。



「そうは問屋が卸しませんよアカネさん、私がいる限りそう簡単にジューゴさんは渡しません!」



 そう高らかに宣言するのは金色の髪に栗色の目を持つ少女だ。

 中学生という年齢に不相応な大きさの豊満な胸を持つ愛嬌のある可愛らしい顔をしている。



「はっ、お前のような子供にはまだ恋愛は早いんじゃないのか、パイ子? 中学生は中学生らしく家に帰ってミルクでも飲んでればいい」


「いえいえ、そういうおっぱいオバケさんも恋愛は必要ないんじゃないですか、あなたこそ大人しくモンスターと戯れていればいいんです」



 そういうとお互いの視線が交差し火花が散っている。

 状況はまさに一触即発の様相を呈していた。

 そんな殺伐とした雰囲気だったが、ユウはそんな二人に微笑ましい視線を向け止めようとはしなかった。



「まったくー、二人ともそんなにジューゴくんのことが好きなんだー、恋する乙女は可愛いものですなぁ~」


「「っ!?」」



 ユウが誰にともなしに大声で言い放った言葉に、二人とも先ほどの険悪な雰囲気が無くなり頬を赤くさせ身体をよじらせる。

 それはまさに恋する乙女のそれで誰が見ても可愛らしい女性的な仕草であると言えた。



「ユウ! 適当な事を言ってんじゃないよ!?」


「そうですよユウさん、今はアカネさんが恋愛する必要がないという議題でジューゴさんは関係ないじゃないですか!?」


「三人ともどうしたんだ?」



 ユウの言葉に抗議する二人だったが、そこに最後の役者が登場したことで舞台はクライマックスへと移行する。



「それがこの二人が――」


「わぁー、わぁー、わぁー、わぁー」


「ユウさん、言っちゃダメですぅぅぅうううう!!」



 これ以上自分の醜態を知られまいと必死にユウを止めようとするも、そんな抵抗も虚しく結局知られることになってしまう。



「やれやれ、二人ともそれほどジューゴ君にご執心だとはね」


「うぅ……」


「カエデさん、それ以上何も言わないでください……」



 二人の態度に肩を竦めながらモンスター狩りを再開するべく歩を進めたカエデが思い出したように振り返り二人に宣言する。



「ああそうだ、アカネ、ミーコちゃん、私もジューゴ君の事好きみたいだから先に二人に伝えておくよ」


「「え……」」



 まるで何でもない事のように言い放ったカエデは、次の獲物を探すべく歩いていった。

 そんな彼女をアカネとミーコの二人はただただ呆然と見送るしかなかったのだった。



 余談だが、その様子をユウがニヤケ顔で見ていたのは言うまでもない。





【作者のあとがき】



 お疲れ様です、こばやん2号です。

 節目の第十章が終わりましたが、ストーリー的にはまだ第二部くらいといった所でしょうか。



 ここからコブリン軍に対抗すべくいろいろと準備をしていくことになるのですが、果たしてジューゴくんは思う様に準備できるのかそこが次の章の注目ポイントになりますかね?



 あとアルファポリスでのお気に入り登録がようやく1000件突破しました。

 登録してくれた方感謝感激雨あられです。



 感想に関してもアルファポリス&なろう両方とも以前よりもいただけるようになりました。

 中には今後の展開に参考になりそうな意見もあり、何かと助かっています。



 さあそんなこんなで次回第十一章は更なるレベルアップとプレイヤーに緊急事態を伝えるジューゴの姿を描いていきます。

 拙い表現も多々あるかと思いますが、それでも楽しんでいただけたらなと思っておりますので応援よろしくお願いします。



 それでは、またお会いしましょう、では。

ブックマーク登録件数推移 6454件 → 6469件 2019年6月3日時点

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
好きになるのは自由だが、アカネとミーコは自分が選ばれない可能性を考えてない気がする(ㆁωㆁ*) ジューゴ…リアルで2人に会ってなくて良かったな(ㆁωㆁ*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ