元クラスメイト①
「おえぇぇぇぇ」
「あのなぁ、毎回飲みすぎなんだよ」
シュウのとなりで吐いているのは賢士である。
昨日電話が終わり直ぐに寝たそうだが、その夜飲みに誘われて行ったそうだ。
(こいついつかアル中で死ぬな)
シュウが心の中で思っているときも、賢士は吐きまくっていた。
「おいーすってなにしてんの?」
こちらを呼ぶ?声に振り替えれば、金髪に耳にピアスを三つもつけてやたら白い歯を見せながら歩いてくる無駄に顔がいい男が歩いてきていた。
身長は170後半くらいだろうか、街で見かければただのチャラ男にしか見えない顔だけはいい男である!
「うっぷ、この、化け物め」
「あぁ、なるほど」
「え、何々賢士また吐いてんの、マジウケるんだけど」
着いて早々この言い様は、昨夜二人で飲みに行っていたのであろう。
そして賢士の言い様から察するに、どちらも相当飲んでいたようだが片方はこのとうりであるし、もう片方は飄々としている。
体の違いだろう。
「おせぇーよ将太10分だ」
「ごめーんね、なかなか帰してくれなくてさ」
このチャラ男、藤林将太は、生粋の女好きだ。
男なら当たり前と思う人もいるだろうが、こいつはそんな人の常識を覆す男である。
まず、二股三股は当たり前としてその三人を同時に相手するのである。
女の方もそれに納得しているのがおかしいのだが、言葉巧みに愛を囁いて落としまくり自分自身をシェアさせるのだ。
とんだハーレムである。
「収穫は?」
シュウが尋ねれば将太は笑顔を見せてピースサインまでしてくる。
「ほれほれ、見てよこれ、昨日だけで二人だよ二人!テンション上げまくりだよね!」
近づきながらスマホを弄り、目的の写真が見つかったのだろう、笑みをさらに深くして見せてくる。
そこに写っていたのは、上半身裸で下半身を掛け布団で隠している男女が3人、一人はもちろん将太で後の二人はシュウが見たことのない女だった。
「それ、うっぷ、うちの店の娘たちなんだ」
言い終わるや否や直ぐ様草むらに入っていく賢士、相当来ているようだ。
「はぁー、お前その内刺されるぞ?」
「だーいじょぶ、中では出してないし?付き合った子達は皆同意してるんだからさ、もんだいナッシング」
もう一度ため息をこぼし、仕方ないかと空を仰ぐ。
このやり取りも会えば必ずやっているものなので慣れたものであるのだ。
「取り敢えず行くか?」
「ウェーイ、そうしようぜぇい!おーい賢士ー」
「も、もうちょっと待って、うえぇぇぇぇ」
「何やってんだか」
そのあと更に10分ほど吐き続けた賢士が、顔面蒼白で出てくるまでまっていたのだった。