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私の家出の話。  作者: ユヤン
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9

諦めてギュッと目をつむった。

 その瞬間、体が浮いた。

 持ち上げられた、という感じではない。

 小さい頃に、〈たかいたかい〉をされたような、内蔵が浮いたような感触。

 

 ビックリして目を開けるとアロイスは、下にいた。

 アロイスが下にいる?

 家の屋根に着地したようで、私を抱えているのは誰だろうかと、顔をあげると、灰色の耳が生えていた。

(獣人…!)

「おい、お前」

急に話しかけられてビクッとする。

「あいつ、飛べるのか?」

「い、いえ。飛んでるところは見たことないので多分…」 

「そうか」

 そういうと灰色の獣人は、私を抱えたまま身軽に屋根を飛びうつって、アロイスから遠ざかっていく。

 見たところ私を助けてくれたであろう獣人は、猫のようだった。

 屋根を飛びうつる、なんてことは初めてのことで、怖すぎて言葉がでなかった。


 しばらくすると灰色の猫の獣人は、一軒の家の前に降り立って、なかに入っていった。

 見たことがある、と思ったがここはファビアンさんの宿だった。

「おーい、ファビアン!」

 私をまだ抱えたままの獣人は、ファビアンさんを読んだ。

「この声はユーグかい?なんのよう?」

 灰色の猫の獣人はユーグさんというらしい。

 いつもと変わらない柔らかな声で答えながら、ファビアンさんは台所から出てきた。

 そして、ユーグさんに抱えられた私を見てギョッとした顔をした。

「ル、ルイさん!?何でユーグに…」

「拾った」

 ユーグさんが間髪いれずに答えた。

 拾った、私はどうやら拾われたらしい。

「な、成りゆきで…はは…」


 魔力が少し回復するのを待って、拘束魔法を解いた。

 少し複雑だったが解けないものではなかった。

 

「それで?何でルイさんはユーグに拾われたんです?」

 お茶を用意しながらファビアンさんは聞いてきた。

 なんて言えばいいのか、どこから言えばいいのか、そもそもファビアンさんに正直に答えていいものなのか。

 考えているうちにユーグさんが喋りだした。


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