表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の家出の話。  作者: ユヤン
8/16

8

仕掛けたトラップも、アロイスは身軽にかわしていく。

 けれど長々追い付いて来ない。

 アロイスはわざと追い付いて来ないのだろう。

 向こうはこの鬼ごっこを楽しんでいる。


 そろそろ体力もなくなってきた。

 曲がり角を曲がるとそこはいきどまりだった。

 一瞬で血の気が引いていく。

 逃げるところはない。

 飛べるほどの魔力もない。そもそもそれほどの技術を持ち合わせていない。


「レティシア嬢、もう終わりですか?」

 後ろからアロイスが現れる。

「な、なぜ!私を連れ戻しにきたのですか!父が決めた相手と結婚しても、あの家の品格が落ちるだけ!あなたも気づいているでしょう!?」

「ああ、わかっているよ、レティシア嬢。けれど主人に言われたら従わなければいけない。知っているでしょう?レティシア嬢」

 笑いながらアロイスはゆっくりと近づいてくる。

「誰と結婚させるつもりですか!?」

「誰だと思う?レティシア嬢?」

 頭のなかで家を出る前に見た肖像画を並べる。

 アロイスは私の考えている顔を見て笑って言った。

「あの第二王子だよ、レティシア嬢」

 私は開いた口がふさがらなかった。

 ランス王国の第二王子、と言えばアホで有名だった。 

 お金を使い、平民をバカにして、まさに王子という階級をだしに、めちゃくちゃなことをやっている王子だった。

 第二王子、だということがせめてもの救いだろう。

 あれがもし、王になったら王国は崩壊するだろう。


「ほら、一応あれでも王子だからさ、レティシア嬢は一生生活に困ることなんかない、妃としての身分も保証される。ほら、いい話じゃないか」

「ふざけないでください!もう、私はあの家に戻らないと決めたのです!結婚もしません!」

 帰ってくれ、心のなかで祈る。

「じゃあ、仕方ないなー。拐う形で連れ戻したくなかったんだけど」

 アロイスは近づく速度を速めた。

 もう魔法も使えない。体力もない。


 もう、だめだ。


 アロイスの束縛魔法で体が動かなくなり、その場に倒れこむ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ