5
「…イさん、ルイさん」
ユサユサと体を揺らされて目が覚めた。
飛び起きてよだれが出ていた口もとをぬぐった。
「ご飯ができましたよ」
とファビアンさんは言った。続けて後で下に降りてきてくださいねと言った。
わかりました、と言うとファビアンさんは部屋を出ていった。
(寝顔を見られてしまいました…)
またもやルイの顔は真っ赤に染まった。
部屋を出てご飯を食べに、食堂らしき部屋へ入ると思った異常に部屋が大きかった。
その部屋の一つのテーブルにファビアンさんは、料理を並べていた。
どうやら今日の宿泊者は私だけのようだった。
「すいませんが今日の宿泊者はルイさんだけなので僕も一緒に食べていいですか」
とファビアンさんが聞いてきた。
断る理由もないし、一人で食べるよりは人がいた方がいいと思ったので、もちろんと答えた。
今日の晩御飯は魚のソテーだった。それにサラダとスープとパンがついていた。
ソテーを口に運ぶと先程のお肉と、同様に香辛料がよく効いていた。
ピリリとした辛さがこれまた美味しかった。
スープはポタージュのようでとてもまろやかで、辛さと相対的で美味しかった。
パクパクと食べていると視線を感じて顔をあげると、ファビアンさんがじっとこちらを見ていた。
「とても美味しいです」と言うと、ファビアンさんは、パァッと顔を緩めて「そうですか、ありがとうございます」と、嬉しそうに答えた。
分かりやすい、と思った。
食べ終わったあとに
「食堂思ったより大きいですね」話しかけると、
「お昼の時間にランチ限定で食堂を開いてるんですよ」と答えてくれた。そして、
「最近忙しくて手伝ってくれる人を探していて…」と小さく付け足した。
ガタッと椅子を音をたてて立ち上がった。
「ぜひ!働かせて下さい!」