共同作業
今回は主人公視点です
前回と比べると少し長いです
カンカンと鳴り響く部屋に1人汗を流していた
そんな中だった「頼もーー!」誰かが尋ねてきた
でも今は手を話す訳にはいかない、大事なとこだから
「おい、誰か来てるっぽいぞ?」
「知ってる!今手、離せない」
「どんくらい?」
「最低20分」
「オッケ、適当に相手しとくわ。終わったら来てくれ」
タツが相手してくれるなら安心だね
よろしく、と言って目の前のことに集中する
玄関に行くとタツと話してる人がいた
「お待たせ」
「お、ようやく来たか」
「私を待たせるとは…貴女でなければ許さないところだ」
「ごめんねー。で、なんの用?」
「そうだ、忘れるところだった…。今回ここに来たのは頼みがあるのだが…引き受けて貰えないだろうか」
「内容次第だよ、受けるにしても受けないにしても、ね」
「それもそうだな、なら簡潔に言おう。剣、西洋剣を計100振り程作っては貰えないだろうか。期限は一月」
西洋剣?なら鋳造かな…作ったことないけど、どうにか…なるみたいだね
「いいけど、報酬と用途次第だよ」
「用途は私の所属してる第4治安維持対策部隊の修練のため。報酬は…正直あまり出せない、良くて一振り10Gか1万円くらいだ。そして出来れば円で払いたい」
円で払うのはGが不足気味だからかな…
Gはどこもあまり持ってないんだよねー
まぁ…いいかな
「わかった、受けるよ」
「おお!ありが「ただし!違う用途で使われてたら返してもらうからね?」…はい」
承諾も得たことだし、これからはしばらく西洋剣作りだねー
うーん、腕が鳴るよ
いい気分でやる気になってるところにタツが入り込んできた
「ショウってさ、やっぱ頭おかしいよな…」
「は?なんで?」
「だってさ、相手は第4のケイジンだぞ?なのにその強気なことがおかしいんだよ」
「ケイジン…?あぁこの人か、前にちょっとした縁があってね、それから仲いい…んだっけ?」
「俺に聞くな!」
チラっとケイジンを見ると、スーッと視線を逸らされた
…私って嫌われてた?
「ま、まぁそのことはいいだろう。では頼みます」
「はいはい、任せといて」
ケイジンは帰る前に一枚の紙を渡していった
内容は『西洋剣を100振り作って欲しい。質は簡単には折れない程度。扱うのは素人だと思って作って欲しい』と書いてあった
ま、このくらいは普通に作れば大丈夫そうだからいっかな
「大丈夫なのか?一月で100って結構キツくねぇか?」
「1日5振りは余裕だと思うから大丈夫だよ。ってなに?私のこと心配
してくれてんの?」
「べ、べべ別にそんなんじゃねーよ!お、おおお俺はただファラクのメンテのことをだな」
「あーはいはい、そういうことにしとくよ。んじゃ私は工房に篭るね」
「お、おう、とっとと100作ってやれ」
「任せといて!」
そう言って私は工房に戻った
「さて、西洋剣か…えっと…?ふむふむ、結構簡単だね」
作り方はは結構シンプルだった
中を剣の形にした筒を用意してそれを砂で覆い、上だけ空けておく
その筒に熔かした鉄を流し込み、冷えて固まったらそれをお湯につける
あとは研げば完成
難しいところと言えば剣の形にするための筒を作るとこくらいだ
あー、でもこれ1人じゃ厳しそうだな…。よし、タツに手伝わせよう!
「タツ、手伝いなさい」
「いきなりなんだよ!それに何をだよ!」
「言わなくてもわかるでしょ?」
「わかんねーよ!ツーカーの仲でもないだろ俺たち!」
「そりゃそうだったね、こりゃ失敬!タツに女心を理解しろってのも酷だよね。面倒だから言っちゃうけど、西洋剣作りを手伝って」
「やっぱ時間的に厳しいと?」
「違う、作る過程が1人じゃ厳しいかも、って思ってね」
「ま、どっちにしてもこと「ちなみに断ったらもうタツに刀あげない」…脅迫じゃねぇか…あーくそ!やりゃいいんだろ!?」
最初からやるって言えばよかったのに
「やるなら真剣にやってね?いつもみたいにふざけてたら溶けた鉄の中にぶち込むからね?」
「軽く言ってるけど、それ確実に死ぬよね!?俺を殺す気!?」
別に殺す気ナンテナイヨー
「っち!まぁいい。それで俺にメリットはないのか?」
「ない」
「ないのかよ!!」
「冗談だよ、10回メンテ無料でどお?」
「金取る気だったのか…わかった、それでいい」
「んじゃさっさと作っちゃおうか」
タツを連れて工房に入るといきなり
「暑い!こんなとこでやってたら俺すぐに死ぬって!」
「死ぬ死ぬうるさい!サウナだと思えばかなり楽だよ、ほらこっち来て」
帰りたいとぼやいてるタツの手を引いて奥に進んだ
「タツにやってもらうのは筒と筒の間に砂を入れてもらうこと、そこに鉄を入れてそれを引き抜くときに筒を押さえること、わかった?」
「簡単だな…本当に俺必要か?」
必要だから呼んだんだけど…
「まぁいいや、私は先にその筒作るから砂集めといて。2kgくらいでいいよ」
「どこにあるんだ?」
「あっちに砂山があるよ」
タツに構ってると私の作業が進まないからこれ以上は言わない
さて、筒を剣の形に…か
普通に考えれば少しずつ彫って…だけどそんなことしてたら日が暮れちゃう
こういうときこそ私の能力の使いどこだよね
ふーん、大まかに穴あけて両方から彫って下側を埋めるか
ならすぐに出来そうだね
熔けづらい物を堀ることにした
大まかでいいから凄く気が楽だ
「あとはコレの底を埋めて…完成っと!」
我ながらいい仕事したなー、と額の汗を拭っていると
「終わったぞ!多分2kg以上あるはずだ」
ナイスタイミングだね!
「おっけー、んじゃ作ろっか」
鉄を熔かし始めた
炉に入れとけば勝手に熔けるから放置する
「タツ、この筒の周りに砂を満遍なく入れて。たまに周りを叩いたりしながらね」
「きっちり入れればいいんだろ?楽勝だ!」
そう意気込んでやり始めた―――――が
「タツ!中の筒に砂入れないで!!」
「ちょっと手が滑っただけだろ!!」
タツが途轍もなく不器用なことを忘れてた…
これじゃ一振り作るのにかなり時間かかるかも
「わかった、私がやる。タツは鉄を見てて!煙が出始めたら教えて」
「あーはいはい、やりますよー」
最初にマジメにやれって言ったのに…これだからタツは
ちゃっちゃと砂を筒の周りに敷き詰めるとタツが煙が出てる気がすると教えてくれた
…気がするってなに?見ればわかるでしょ
「この煙か?」
「…うん丁度いい温度だね………タツ、鍛冶やれば?」
「やだよこんな暑いとこ、ずっとなんて居たくないね」
「まぁそういうと思ってた、まぁいいや。んじゃこれをさっきの筒に入れるよ」
熔けた鉄を入れてる最中、ハッと思い出した
「タツ!そこに転がってる筒にお湯入れてきて!半分でいいから!」
「は?お湯って…ま、わかった、いってくる」
「急いでね!!」
私としたことが冷やす過程をすっかり忘れてた
水は工房にいっぱいあるけどお湯はないんだった…
「うん、よし!次に生かそう」
パン、と顔を叩き気合を入れ、鉄が固まるの待つ
「おう、ポットのお湯でいいんだよな」
「うん、そこに置いといて」
あと少し、2分で固まるかな…多分
「そういやタツ、妙に遅かったね」
「てめぇの家のポットの事情くらい把握してやがれ!」
そういえば壊れてたような……あれ?
「じゃぁそのお湯は?ポットのお湯って言ってたよね」
「俺の能力の応用だ、ポットを一時的に復活させて急速に温めてきた」
タツの能力って生体電気と静電気しか操ることの出来ない出来損ない電気使いだよね?
それでそんなことできたんだ…
「なんだよその目は」
「いや、タツにしてはスゴイなーって思ってね」
「バカにしてんだろ!?」
いやいや褒めてますって
「そんなことより鉄が固まったみたいだから作業を再開しよ。タツは筒を押さえといて」
そう言って道具を使って鉄を抜き取るために力を入れ―――たのに予想よりも簡単に抜けてしまった
そのおかげで勢い余って尻餅をついてしまった
―――熱々の鉄が入った筒を持ったまま
「あぶねぇ!!」
やばい、と思った瞬間だった。タツが筒を蹴って私に当たる機動から逸らしてくれた
ありがと、そう言おうとしたが
「てめぇはバカか!?」と言われたことで言うのをやめることにした
はいはい、そうですねーと軽く流し、飛ばされた筒の方を見てみると
いい感じに筒だけが砕け、中の鉄は無事のようだった
ホッと一息つき、1号目の西洋剣の形を見ると初見で作ったとは思えない出来栄えになっていた
これを研ぐだけでもうれっきとした剣になる
よし、この感じだね!
「さて、タツ!どんどん作るよ!」
「おう!さっさと作り終えるぞ!」
タツと一緒に西洋剣作りをしました
1人でも出来ることだと思いますがなんとなくタツに手伝わせてみました
タツの能力について出ましたね
タツの能力は簡単に言えば電気使い
性格には『スターリックエレクトリシティ・エクス』静電気使いです
微弱な電気しか使えませんが、使い方次第で十分過ぎる性能になります
頑張れば某電気使いの妹さんくらいにはなれますね
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