灼熱の部屋で
ここからが本編です
暑苦しい部屋の中で『カン、カン』という音が響き渡る
換気などもせず、クーラーのような物も使わない
時折『ジュゥゥーー』や『ゴォォォ』という音が混じり、その後はまた『カン、カン』となり始める
「んーこんなもんかな」
音の正体は物を作ってるときの音だった
「こいつの名前は『グラシェル』かな」
名前を決めてうんうんと自分で作った作品を眺めているとダダダと誰かが走ってる音が聞こえた
「おいーっす…って暑!相変わらずこの部屋は暑すぎるぞ!まぁいいホレ土産だ」
「おいっす、そんなに暑い?今日は少し温度低めだよ?」
ありがと、と言って部屋に来た男から袋を受け取った
「そんなことよりよぉ!俺にもいいの作ってくれよ!この前作ってもらったやつすぐに折れたぞ!?」
「『フリュー』が?そんなヤワには作ってないけど…タツの扱いが悪いんじゃない?」
「んなことねぇよ、あの時はパパッと作ってたしどこか手ェ抜いたんじゃねぇのか?」
「そんなわけないでしょ!こちとら作品を作る時に手を抜ける程落ちぶれてないわ!……一応残骸があれば見せて、次の参考にする」
そういうと「そういうだろうと思ったぜ!」と言って後ろに隠してたソレを差し出してきた
流石に長年の付き合いのタツにはわかるんだね―――付き合いと言っても交際してるわけじゃないよ?―――
「とにかく見てみるね…………うわっひど!なんでこんな折れ方してるの!!」
「あーそれはだな、今日5ランク上のミヒトって奴に会ったから挑んだんだが…あいつの出すゴーレムを斬ろうとしたら折れました、はい」
「もう一度聞くね、なんでこんな折れ方に?」
「自分の力量も考えずやった結果です、申し訳ありませんでした!!」
その場で即座に土下座するタツを見てるとどうでも良くなってきた
「まぁいいわ、新しいの作ってあげる。今回はタツの力量に合ったの作るからこれから模擬戦しましょ」
「え」
「そんな死にそうな声出さなくていいじゃない!何も本気出すなんて言ってないでしょ?」
「あ、ああそうだな。でも俺に女を斬る度胸はないぞ?」
「別に斬られるつもりはないよ。ただ力量を計るだけ」
「それじゃやりましょうか」
タツにはさっき作った『グラシェル』を貸してある
対して私は一番の駄作だ
もし鍔迫り合いや打ち合いになったら絶対にこっちが折れるのは間違いない
「ここまで来たら覚悟決めないと男じゃねぇよな…よし!」
パン!と自分で自分の頬を叩いて気合を入れたようだ
「あ、一応言っとくね。タツの勝利条件は私の作品のこの刀を折るか血を一滴でも出すこと。まぁ万が一でも私に勝てるようだったら最高傑作の作品上げるよ」
そういうとタツの気合が更に入ったみたい
(でもこのくらい本気じゃないとタツの力量なんて計れないし、なにより)
私が楽しくないんだよね
「それじゃこのコインが地面に落ちたら開始でいいね?」
コクンと頷くのを確認して指でピンっと弾いた
弾かれたコインは宙を舞い、回転しながらゆっくり地面に吸い込まれるように回転しながら落下を始め
チンというとがコインが地面に落ちるのと同時に鳴り、タツが抜刀して私の身体目掛けて鋭い一閃をしていた――――でも
「遅いね」
左手に持ってた鞘でタツの刀を叩いて反らした
しかしそれは読んでたようですぐに刀を返して顔目掛けて振り上げてきたがそれも軽くかわした
「どうしたの?そんなんじゃ私を斬れないよ?」
「知ってるさ、だから本気でやらしてもらう!!」
その言葉を最後にタツの姿が消えた
(お?まだ早くなるんだね。さてタツはどこかな…)
「っと!」
殺気を感じて鞘をそこに置いた。が、来たのは刀だけだった
「こっちだ!!」
「知ってるよ」
刀の柄で拳に合わせた
(ん…こんなもんかな)
そのままの流れで身体を回転させて宙にいたタツを蹴り飛ばし「ま、参った!」
その言葉を聞いて刀を止めた
「あ、っぶねー!首狙うとかどうなんだよ!マヂで死んじゃうだろ!!」
「大丈夫よ、私を誰だと思ってるのよ」
「生産系の能力のくせに戦闘ランキング上位に食い込む化け物だろ?」
「誰が化け物よ!」
そう反論してみたけど私自身そう言われてることは知ってる
ちょっとこの刀で戦ってみたいなーって思っただけなのに…なんでこうなったんだろ
主人公の名前はまだ出ません
ちなみにタツは幼馴染的ポジションです
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