第一話前半 登校して時間に余裕があったら速攻寝る
自分は小説と言うものを書くのが初めてです。
そのため、稚拙な表現が数多くあると思いますが、ご了承いただければ幸いです。
【私立キリングソフトミー学園】
このふざけてんのかおちょくってのんかよく分からない名前の学校は、東京などの都市部からちょっと外れたベッドタウンに存在した。こんな名前の学園だと、色々なシーンでいらん問題が発生するだろう。例を挙げれば…
「あ!?テメーどこ中だよ!」
「私立キリングソフトミー学園中等部だよ!」
とか
「君は…えーと…私立キリングソフトミー学園高等部出身と書いてあるが…?」
「はい!私立キリングソフトミー学園高等部出身です!!」
などと、とにかく場面がしまらなくなってしまう。そもそも何故こんな名前になったかといえば、名前の決定方法に問題があった。その方法と言うのが、学校名候補が書かれた手紙を一般人から募り、応募された手紙がギッシリと詰まった箱の中からランダムで一枚だけ引くという方式だった。「何が出るかな?何が出るかな?」でお馴染みのお昼の時間帯にやっている、あのテレビ番組で今日の当たり目が出てきた時と同じような感じといえば分かりやすいだろうか。そして、よりにもよって悪ノリで投稿されたこの【キリングソフトミー学園】が引かれてしまった。この学園は、全世界でも3本の指に入る絶世の大富豪が作った学園という事でとにかく注目が集まっていた。一刻でも早く新しく設立された学園名を知りたいという物好きな人のために、特設会場まで作ってそこに一時間前から人が集まってとにかくぎょーさんいたもんだから、今更引きなおすわけにも行かずそのまま発表してしまったというわけだ。発表した瞬間、特設会場には零度以下の冷たい空気が訪れたと山田太郎(やまだたろう)さん(59歳)は語った。しかし、何故こんな学園名を許したのか。文部科学省のセンスを疑ってしまう。いや、実際はセンスの問題じゃないんだろーけども。
高等部2年3組。
教室は名前とは違い、特に変わったところは見当たらなかった。教卓と教壇、生徒用の机と椅子が置いてあり、教室の後方に生徒用の小さなロッカーがそれぞれ設置されている。どこの学園にでもありそうな風景だ。強いて変わったところを言うのなら「ド根性」とデカデカと彫られた机や「馬鹿ばっか」と、ちょこんと申し訳程度に書かれた机が2つあるぐらいだ。
その2年3組の教室の、黒板側から見て左から2番の列に鈴宮隆(すずみやたかし)の席はあった。
8時35分。あと少しで朝のショートホームルームが始まりそうだというのに、教室の中の人影は4人と数えられるぐらいしかいなかった。
その中で起きている生徒は2人。黒髪で大きいツリ目、男子生徒…隆と蒼い髪、童顔で小柄な女子生徒の二人だった。後の二人は机に突っ伏して寝息を立てていた。ちなみにこの二人の言い分、「家じゃ寝れないから学校で寝る」との事だ。実際、この言い訳は結構便利なので作者もよく使う。聞かれてはいないが…
「おー、やっぱ朝じゃこんなに少ないか」
ガラガラと後ろの引き戸が開かれ、耳までかかる銀髪を持っており、真紅のヘアバンドをつけている身長の高い男子生徒が入ってきた。軽く猫背になっておりどこか眠たそうな瞳をしている。こう見えても何でもこなし案外頼りになるのだが、そのやる気のなさそうな外見のせいで彼は「器用貧乏」の烙印を押されていた。実際は器用貧乏などではないのだが。
「お前にしては遅いな、零次」
腕を組みながら、隆は振り向きながら言う。零次と呼ばれた生徒はハハッと軽く笑いながら隆の後ろの席に座った。
「いやー、ちょっとニュース番組見てたら遅れちまってな」
「ニュース番組か…俺は、朝起きて準備を済ませたらまっすぐ学校に来るからな。そんなものは見たことが無い」
「いや、ニュースぐらいみろよ。このクラスじゃズー○イン派とかや○うま派とかめ○まし派とか、派閥が出来てるぐらいなんだぜ?」
「ニュース番組で派閥が出来ているのか?」
零次の言った一言に、隆は軽くだが驚きの声を上げた。隆はたかがニュース番組と思っていたので、派閥が出来ているなどとは思ってもいなかったのだ。
「そーなんだよ。これがズー○インを見てるヤツが少なくてさー…」
隆と零次が他愛も無い世間話をしていたら、廊下からドタバタと誰かが走る音が聞こえてきた。そして、その音が2年3組の後ろの引き戸地点で止まったかと思うと今度はその引き戸がバタンと荒々しく開いた。
「隆ィ!また人がトイレに行っている間に私を置いていったな!?」
「やかましいぞ、ネリー。俺は一応二度呼びかけた。返事が無いからそのまま出て行っただけに過ぎん」
扉を開いたのは、金髪で長髪で、軽く涙目になっている小学生。10歳になるかならないかの幼女。フランス人と日本人のハーフで隆の遠縁であり、目の当たりは隆によく似ている。つまり、彼女もツリ目で初めて見た人間の半分が「…ツンデレ?」との印象を持った。
「お前も私が極度の方向音痴だという事は知っているだろう!?お前がいなければ、学園に来る事すらままならんのだぞ!!」
何故、ネリーが小学生なのにこんな喋り方なのかと疑問を持った方もいるだろう。その原因は隆にあった。
ネリーの両親は生まれて1、2年経過してから長期の海外赴任となった。しかし、「ネリーには日本で暮らして欲しい」という両親の意志で、彼女は遠縁である鈴宮家に預けられる事になる。そして、ネリーはその後の全てを鈴宮家で育つ事となった。主にネリーの面倒を見たのは隆と、鈴宮家のお手伝いさん。そのため、ネリーは隆の口調が移ってしまい、こんな口調になってしまったのだ。
「うるさいうるさいうるさい!女を置いていくとは最低の行為なのだぞ!?」
「お前のトイレは長い!入ったら20分は出てこないだろう!?最後まで待っていたら、時間に間に合わんのだ!」
二人がギャアギャアと騒いでいると、小柄な女子生徒が読んでいた本をパタンと閉じ、席を立ち上がって隆とネリーの元に近寄ってこう言い放った。
「うるさい」
どこか鬼気迫るような表情で二人を威圧する。隆とネリーは一瞬あっけに取られたような表情をしたが、ネリーはすぐに表情を変え少女に助力を求めた。その頃零次は、耳にイヤホンをつけ音楽を聴き始めていた。
「だったら私を弁護してくれ!隆に私を置いていった事の深刻さを思い知って欲しいのだ!」
女子生徒は目を閉じやれやれといった感じでため息をつき、ネリーの弁護を開始した。
「…いい?さっきネリーも言ってたように…女の子を置いて一人でさっさとどこかに行くというのは…最悪の行為なの…それもこんなに小さな女の子なのよ…?あなたが守らなきゃダメでしょ…その上この子は方向音痴なんだから…」
「う…わ、わかった。今後は置いていかない様にしよう…」
女子生徒の発揮した威圧感に押された隆は、ただ自分の非を認めるしかなかった。
「ならいい」
女子生徒はきびすを返して、自らの席に再び座る。そして、しおりを挟んだところから本を読み直した。
「自らの犯した愚行が分かったか!?」
「分かった分かった!」
「分かったならもう置いていくな…わ、私はお前に一生ついていかなければならないんだからな…!」
ネリーは頬を赤くしながら、こんな事を言った。隆はどこかツンデレ臭がするとは思いながらも、ネリーを落ち着かせることにした。そして、こんな事をしている間にも生徒はどんどん集まってくる。そして、朝のホームルームが開始した。
どうも、日勝です。
今回は、1話の前半なのでキャラもそんなに濃くしてません。しかし、これからはもっともっと濃くなっていきますのでご期待ください。
この小説のモットー「肩の力を抜いて読める」です。だから、作者も肩の力を抜いて書きました。
それと「ここはこうしたほうがいい」という一言があれば、どんどんおくってください。それではさようなら。