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夢の籠  作者: sapom
鈴木の日常
7/15

鈴木:こんな隠し芸持ってる。

ピンっと頭の中で音がした。

これがいつものアレなら、選択を間違えるわけにはいかない。




私は子供の時から妙な特技を持っている。

それは今の状態のように選択を迫られているときに出てくる力。


小さいときは、学校からの帰り道 。いつもは悩まないような分かれ道で、突然右から帰るか左から帰えるかの選択を迫られているような感覚に陥った。

胸がモヤモヤし、私はいつもは通らない道を選択した。

次の日学校で、変質者が出たから気を付けるようにとプリントが配られた。私のいつもの登校路だった。


高校に入ってからは、資格試験でソレは表れた。

マークシートの記入欄。

何故か問題を読まずとも塗りつぶす場所が分かった。頭の中に、長方形の黒い棒が浮かび、白紙のシートの上にランダムに浮いている。

ここを塗れってことね。

一応問題を読み、答えを記入していく。

しかし自分で解いても浮いた長方形のところを塗っているのだから、なんとなく悔しく思ったのを覚えている。


最近は、車の運転中に。

右か左か突然問いかけられた。

自分自身に。

このときも勘に従っていつもと違う路を選択した。

もし、いつもと同じ道を通っていたら、今この場にいることが出来たかわからない。

そのぐらい大きな事故が、その時間、その場所で起こっていた。



始まりが何時だったのかはわからない。

でも自分がナニか大きな力で生かされていることは薄々きづいていた。それを日常考えることはしなかったけれど。


今この男は明確に二択を迫っている。


私の勘は、この男について行けと告げている。

でも一つだけ、確認しなければ。


「もし、私がこのまま会社に行ったらどうなる?」


「皆、死んじゃうかもね」


答えをくれるとは思わなかったけど、その回答に自分の選択が正しいと確信する。


「一緒に行ったら…」

「何とかなるかもよ。君次第だけど」


会話を、遮り男が早口で告げる。


「行くんだよね?一緒に」


断定。

もしかしたら、この人は私の考えていることがわかるのかもしれない。これも、勘でしかないが。


「当たり。やっぱり君、いいね。じゃ、さっそく行きますか」


そう言って私の手を掴むとスタスタと水溜まりに近づいていく。

水溜まりは先ほどより少しだけ大きく、もの凄い速さで渦を巻いていた。


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