鈴木:妹視点1
…やっと起きたよ。
馬鹿姉を幾度目かの電話でようやく起こし、安堵する。
私には姉が二人いる。
一番上の姉とは歳が離れていて余り遊んでもらった記憶がない。
長女だけあって、要領の良さは三姉妹の中でもピカ一だ。
いざという時も頼りになる。
姉妹の中でもいち早く結婚し、今では二児の母。
寒い東北の地で頑張っている。
問題は、先程の、電話相手。
自分で昨晩「明日仕事だから朝起こして~」と電話で頼んできたくせに、「まだ早い!!九時にかけ直せ!!」と八時半の電話で逆ギレした。
何故に。
いやいや、我が姉ながら意味わかんない。
女のあなたが八時半に起きても身仕度完了まで微妙なお時間じゃないですか?
逆算して九時半には家でないと間に合わないよね?
さらに言っちゃうと今の逆ギレも寝ぼけてて覚えてないんだよね?
う~ん、どうしようかなぁ…。
もうかけ直したくないなぁ、一回起こしたし、いいかなぁ。
でも絶対二度寝してるよなぁ…。
時計を見て溜め息をつく。
本当に残念な姉だ。
容姿は悪くない。
身内の贔屓目を差し引いても可愛らしい顔だと思う。
だがしかし、中身がどうしようもなく残念なのだ。
女子力の低さはしょうがないとしても、生活力がまったくといっていいほどないのが問題だ。