こんな時にはどうすればいいの?!
自粛明けで反省したつもりですが……
「今日は日曜日、あと12時間もしないうちに私は机の前に座っている。マンガでは無く現実の教室の中で……」
“花野井くん”の最新刊を電子書籍で読んでふっとため息をつき、こんな事を考えていたら……手に持ったままのスマホがピロン!と鳴った。
「誰?!
サトシ~っ!!
乙女の寝入り端を邪魔しやがって!!
今日は何のノートを所望するつもりだ??!!」
独りごちながらスクバから引っ張り出した宿題のノートを3冊とも机の上に置き、私はスマホをタップした。
来たメッセを読んでみると……
『こんな時間に悪い!
ちょっと考えてみたら
やっぱりヤベエと思って
オレ、すえせん食っちゃ』
打ってる途中で流してしまったのか……
メッセは尻切れトンボだ。
すえせん??
なにそれ??
頭の中に『?』を点滅させながらとにかく返事する。
「何を食べたのか知らないけど食あたりだったらトイレ行ったら?!最悪は救急車だけど」
私の“まったり時間”を壊されて憮然としたが、ちょっとサトシが心配なので返事を待っていたのだけど、全くのなしのつぶてで……私の方がトイレに行きたくなった。
仕方なく部屋を出て階段を下りる。
トイレを出て、まだ下に居たお母さんにもう一度「おやすみ」を言って部屋に戻るとメッセが来てた。
サトシ大丈夫かな?とタップすると……
『オレ、今、沙紀のお姉さんと一緒に居る』
と書かれていて
私は思わず壁の時計を見る。
もう11時を回っている……
頭の中では更に『?』が溢れながらも返信する。
「こんな時間に!なんでアンタが沙紀のお姉さんと一緒なの?? 沙紀から誤解されたらどうするの??!!」
私とサトシと沙紀は同じクラスだ。
私とサトシは“五中”で沙紀は“四中”だったけど、私と沙紀が塾友だった関係で高校になってからサトシと沙紀は仲良くなった……と言うか、サトシの片想いって感じなんだけど……
それにしてもサトシのヤツ!いつの間に沙紀の家に出入りできる身分になったんだ?!
私も沙紀に大学生のお姉さんが居るのは知っていた。
沙紀もクラス一の美少女だけどお姉さんも“ミスキャンパス”に選ばれるくらいの美人で
すごくイケメンのセンパイとお付き合いしていて……そのセンパイは大手の広告代理店に就職が決まったとか……
「こんな姉妹と仲良くなれるのは男の子としては嬉しいんだろうけどねえ~!」
独りごちる私の胸はチリリと痛む。
まあ“チッパイ”でオトコみたいながらっぱちな私だから……サトシに冗談で猥談を振ったり「お前!」なんて呼ぶ事もあるんだけど……
ホントはサトシの事が好きなんだ!
中学の時から……
だから、サトシの気持ちは分かるんだよね。
沙紀に片想いして……
その思いに胸を痛めている。
私と同じ様に……
可哀想なサトシ!
きっと思い余って
沙紀のお姉さんにまで
沙紀へ片想いしている事を相談してしまったんだろうなあ……
私はサトシから相談されて……
「協力する!」って二つ返事で胸を叩いてみせたけど
なにぶん薄い胸だから……サトシへの片想いをしっかり押し込める事ができなかったんだ!
沙紀とうまくいかなかったら
ひょっとしたら
私と……
なんて浅ましい思いを捨て切れなかったんだ!!
私は深くため息をついて返信する。
「沙紀の事をお姉さんにまで相談するのはどうかと思う。それもこんな時間まで!! 沙紀に変な誤解されるよ! そもそも沙紀はどうしたの? 今日は家に居ないの? 家に居るのはお姉さんだけ??」
ああダメだ!!
私、“お姉さん”にまで嫉妬している……
こんな事を書いてしまったせいだろうか……また、なしのつぶてになってしまった……
まんじりともしないでメッセを待って……
「もういい!! 寝よう!」と何度も布団を被って、やっぱり眠れなくて……時計を見たらもう1時過ぎだ!
悲しくて悲しくて泣けて来そうになった時、スマホがピロン!と鳴った。
大急ぎでタップすると……
サトシのスマホから送られて来た画像は……
白く艶やかでふんわりと形良く、いかにも柔らかそうな二つのふくらみに包まれたサトシの寝顔!!
あまりの事に取り落としたスマホが「電話に出ろ!」とばかりに唸り響く。
震える指でタップすると……澄んでいるのにドスの効いた声が、耳から私を串刺しにする。
「今送った画像見たでしょ!?
私はこの様にして沙紀の男を取ったの! 沙紀が私の男を取ったから!
アンタは!!
さっきからずっと私の……
私達の!
邪魔をしてたの!!
分かる!?
これ以上、邪魔建てしたり私の男を取ろうとするのなら!!
アンタの事!!
殺すわよ!!」
そう言ってブツリ!と通話は切れた。
余りの事に私は茫然とするばかり……
こんな“非日常”が私の“日常”だったなんて!!
今日のお昼までは知らずに居た。
突き刺されてジンジンする耳に
夜の汽笛が微かに聞こえた。
その途端、私の目からどっと涙が溢れた。
おしまい
本当はもっと穏やかな話にしようと題名を決めたのに……
「こんなになってしまってどうすればいいの?」(^^;)
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