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チュートリアル4


『では、戦闘のチュートリアルを始めます。場所はこの草原です。この魔物を相手です』

 

 エフルさんがそう言うと、何もない草原にスライムが出現した。


 丸っこいフォルムで顔らしきものない。


 ポヨポヨとはねているがその場からは動かないようだ。


 愛嬌のある動きだ。


 スライムの上には赤のアイコンが表示されており、その横に体力バーだろうものがある。


 人によっては攻撃できないな、これ。


コメント︰かわいい

コメント︰かわいい

コメント︰かわいい

コメント︰これを倒すの?


『自由にやってみてください』


「わかりました。鑑定!」


――――――――――――――――――――――

スライム LV1

状態︰平常 属性︰無

HP︰800 MP︰800

チュートリアルモンスター。

一般的に最弱の敵とされている。

攻撃しないと敵対しないため子供の戦闘訓練に活用される。

――――――――――――――――――――――


コメント︰ふむふむ

コメント︰サンドバックにされてそう。

コメント︰HP高くない?

コメント︰高いように見えるだけじゃないか?


「ふむ。攻撃しないと敵対しないのか。じゃあ、ちょっと試してみるか」


 俺はスライムに近づいてみる。


 少し話しかけてみよう。


 今ぐらいしか挑戦できなさそうだし。


 意思疎通ができるなら面白いことになるかもしれない。


「なあ、スライム。俺の言うことがわかるなら。跳ねるのをやめてくれないか?」


 そう言うと、ポヨポヨと跳ねていたが、数秒経つと跳ねるのをやめた。


コメント︰言葉を理解している…!

コメント︰知性あるってことか?

コメント︰人間の言葉わかるってマジ?

コメント︰他のモンスターもこんな感じの知能なの?スライムって最弱だよね?


 俺は跳ねるのをやめたのを見て、もっと話しかけたいと思いエフルさんに話しかける。


「エフルさん。もしかしてこの空間だと闘争本能は発動しないんですか?」


「…はい。戦闘のチュートリアルのため一般スキルしか開放されてません」


「なるほどわかりました。スライム。俺の話がわかるなら頷いてみてくれ」


「……ポヨ?ポヨ!」

 

 スライムはポヨポヨと跳ねると、また数秒のあと頷く。


「なんで言葉がわかるんだ?」


「……ポヨ?ポヨポヨ!」


 この答えには、体を横に振ることで否定の意思を伝えてきた。


「わからないのか?」


「……ポヨ!」


 分からないらしい。


 意思疎通できると楽しいな。


コメント︰会話できるんだ…

コメント︰鑑定結果を見た感じだとこのスライムって普通のモンスターだよね

コメント︰スライムかわいい

コメント︰チュートリアルで毎回このスライムが出てくるのかな?


 そうやって、質問を繰り返していくと段々と反応が速くなっていった。

 

「どんどんと反応が速くなってるな。言葉をもっと理解できるようになってきてるのか?」


「ポヨ?」


「ははっ、わからないか」


「ポヨ!」


コメント︰パソコンに話しかける実況者みたいだぁ(直喩

コメント︰スライムが反応してるだけいいだろ!

コメント︰なんとなくスライムも楽しんでるように見える

コメント︰俺達みたいに独り言喋ってるようにしか見えない…


 そうやって会話(?)していくとスライムがその場で跳ねるだけでなく移動もするようになった。


「おっ!動けるようになったのか?」


「ポヨ!ポヨポヨ!ポヨ!」


「おおっ、すごい」


 段々と動けるようになると楽しそうに動くようになった。


コメント︰スライムちゃん…!

コメント︰動けるようになったのか…!

コメント︰感動だ〜!

コメント︰楽しそう!


「なあ」


「ポヨ?」


「ここの草原から俺がいなくなったらお前はどうなる?」


「ポヨ?」


「なるほど。なあ、一緒に行かないか?お前となら楽しく過ごせそうな気がするんだ」


「ポヨ?…ポヨ!」


「そうか!いいのか!じゃあ改めてよろしく!」


「ポヨ!」


【スライム(仮称)をテイムしました】


「よし、じゃあ行こうか!」


「ポヨ!」


『チュートリアルを終了しますか?』


「はい!」


『それではEndlessly Possibility Onlineへようこそ。行ってらっしゃいませ』


「行ってきます!」


コメント︰エフルさん空気だったな

コメント︰なんか横槍入れにくかったけど

コメント︰だいぶチュートリアルで時間使ったなぁ

コメント︰テイムってスキルなくてもできるんだ


 そうして俺はスライムと共に転移し始めた。


***


『その子をよろしくお願いします』


 …その一言は伝わることなく草原に消えた。


***


「…うっ、ここは?」


 転移してきたのは、中世ヨーロッパのような街だった。


 周りには、俺の他にもプレイヤーと思わしき人達が溢れかえっていた。


「綺麗な街だな。人が多すぎるけど…。…そうだ!スライムは!?」


 スライムを探すために周りを見渡すと頭に何か乗ってることに気づいた。


 両手で掴み、それを顔の前に持ってくるとやはりスライムだった。


「良かった。一緒に来れたんだな」


「ポヨ!」


 そう言うと手の中でスライムが揺れた。


コメント︰もしかして俺達忘れられてる?

コメント︰ずっと反応しないもんな

コメント︰スライムと長時間戯れてたし

コメント︰スライムかわいい


 スライムを頭の上に戻すと色々確認するため、人気のない場所に移動することにした。


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