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遺跡10

　そうして聖女神のネックレスで呪短剣を使えるようになった。

　これで大剣の重騎士の紫の雷という厄介なものが消せるだろう。

　最初から使えればよかったんだがこの呪短剣を使いたくない理由があった。

　その理由はこれを使って襲ってきたプレイヤーにスキル消去を使ってみたときに起きたことが理由だ。

　普通の剣人兵たちに試したときはスキルを持ってなかったのか効果が実感できなかった。

　だからプレイヤーが襲ってきたときに呪短剣を試してみた。

　そうすると呪短剣でスキル消去がプレイヤーに実際に効いたがその代償を俺も受けた。

　それはスキル消去したスキルの数だけ俺のスキルが呪われて使用不可になるというやつだ。

　そのせいで今の俺は《武器装備》と《刀術》、《直感》が使えなくなっている。

　どうにかして使用不可を解除しようとしたが今のところ解除できそうになかったから先にボスを倒すことにした。

『オオオオッッッ！！！』

「刀が呪われていて装備解除できないのに《刀術》を使えなくなった苦しみを喰らえ！」

　大剣の重騎士に近づき、そのまま大剣を振り下ろしてくるのを回避しながら攻撃する。

　紫の雷でダメージを受けてしまうがそれを無視する。

　そうして呪短剣での一撃を大剣の重騎士に当てた。

　すぐに大剣の重騎士が大剣を横薙ぎしてくる。

　大剣の重騎士の横を通って横薙ぎを避けるとスキル消去の確認をする。

　使用不可になっているのは《蹴撃技》。

　けど大剣の重騎士の紫の雷は止まっていない。

　他の何かを消去したようだ。

　動きに支障がないうちにさらに攻撃する。

　二回目は《軽鎧技》が使用不可。

　大剣の重騎士は代償に大剣の扱いが明らかに下手になった。

　三回目は《神聖魔法》が使用不可。

　大剣の重騎士になにが起こってるのかわからないがスキル消去はできている。

　四回目は《罠解除》が使用不可。

　大剣の重騎士の紫の雷がやっと消えた。

　ここまでの動きで俺のHPは七割減っている。

　大剣の重騎士のHPは最初は少しづつ回復していたが今は自動回復も止まっている。

　自動回復も消去できていたらしい。

　これで大剣の重騎士は大剣だけになった。

　大剣の扱いも下手になっている大剣の重騎士相手だともうダメージを受けることはなさそうだ。

　呪短剣を封魔の剣に戻すと技を使ってどんどんダメージを与える。

　大剣の重騎士はもうただのデカブツだ。

『オオオオッッッ！！！』

「《振り下ろし》《一閃》《勇光斬》《聖光斬撃》」

　サンドバッグにしながら、今後の予定を考える。

　今回の大剣の重騎士は紫の雷のせいで呪短剣を使うことになったがこれが効かない強敵も想定するべきだ。

　なんとなくだが応龍との戦いで魔法が使えなかったことを考えると呪短剣は使えそうにないんだよな。

　それに呪短剣は使えば使うほど戦闘能力が低下していく。

　今のところは運が良く《刀術》と《直感》ぐらいしか致命的なのはないが使い続けていると怖い。

　どうにかして使用不可を解除する方法を見つけないとな。

　でも呪短剣はスキル消去を使わなければそこそこ強い武器ではあるから封魔の剣の代わりになりそうな気もする。

　…だが直剣ではなくなるから《勇者技》が使えなくなっちゃうんだよな。

　やっぱり封魔の剣の代わりの直剣を探すことも視野に入れよう。

　んー、まずは使用不可の解除、次に妖刀の呪いの解除、最後に封魔の剣の封印の解除の三つをやっておきたい。

　それが終われば応龍と戦うことや西の森の奥に行くこともできるようになるだろう。

　というかやることが多すぎるな。

　そうこうしている間に大剣の重騎士のHPも残り少なくなっている。

　紫の雷がなくなっても大剣が脅威だと思ってたんだが推定《大剣術》がなくなってるのがあまりにも可哀想。

　普通に戦ったら強敵なのに俺が反則手段を使ったせいで弱くなってしまった。

　これではこの世界の戦い方の習熟にはならないな。

　この遺跡の攻略が終わったらフウマさんに頼んで修行してもらおう。

　勿論、呪短剣の使用不可とか妖刀の呪いとかを解除してからの話になるが。

　そうして大剣の重騎士は倒れた。

『世界で初めて大剣の重騎士を倒しました。ワールドアナウンスが流れます。名前を公開しますか？』

　いつも通り、拒否で。

【ワールドアナウンス︰初めて《遺跡一階の主》大剣の重騎士が《匿名》に倒されました】

【遺跡二階が開放されます】

『大剣の重騎士を初めて倒したことで特典があります』

『大剣の重騎士をソロで初めて倒したことで特典があります』

　遺跡二階も気になるがまずは街に帰ってログアウトして寝よう。

　もうだいぶ時間が経った。

　帰ってログアウトして寝て、起きて、戦利品確認して、ステータス確認して、使用不可の解除をしにいく。